秋風の亡霊
Mon.16.09.2013 Posted in 恋愛
あるブランドショップで化粧品を買い、その後、ボンテージショップで衣装を買った。

どちらもとてもアダルトなイメージで、秋に開催されるフェティッシュパーティに奴が身に付ける予定のものだった。
ちなみに買い物はすぐに終わった。どちらの店にも一目惚れする商品があって迷わす購入に至った。

「帰宅したら使ってみるか?」
「やってくれる?」
「喜んで」
「ちょっと照れくさいから、今夜は少し酔うぐらい飲もうかな」
「そうすると良い」

食事に赤ワインを一本添えた。
オレは運転があって飲めなかったので奴が一人で飲み干した。

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会計を済ませて外に出た時には、奴は程よく酔っていた。
随分と上機嫌で、台風のせいで人がいないのを良い事にオレの腕に抱き付いた。

「今夜のこの街は綺麗だ。すぐに帰るのが勿体無い」
「散歩してから帰るか?」
「さっき買ったドレスを着て歩きたい」
「ははは。ヒールとウィッグがないからちょっと厳しいぞ。だけどメイクだけなら良いかもな」
「じゃあそうしてよ」
「本気か?」
「だってまだ帰りたくないから」

別にメイクをしなくても散歩は出来るのだが、オレは酔っ払った奴のお付き合いをする事にした。

食事をしたホテルに戻ってレストルームに入り、そこで秋色のメイクを奴に施した。
奴の髪に良く似合うブラウニッシュなシャドウと、奴の真っ白な肌に良く似合う鮮やかなオレンジのルージュを。

「どう?」

と、奴は身体にしなを作って頭の後ろで腕を組んだ。
服装はダークスーツのままだったが、だからこそ倒錯的で悩ましかった。オレの理想とする『男性のままの女装』だったから。

「素敵だ。靴がピンヒールだったらもっと良かった」
「そんな事を言うのは無粋だよ。今のオレを最高だって褒めて」
「ああ……すまない、最高だ」
「よろしい」

奴はオレの顎を救い上げてキスをした。
ツンと澄ました顔をして、自分に仕える下僕に褒美を与えるように。

オレはレストルームで情事を交わしたくなった。
そこは所詮『トイレ』ではあったが、目の前にある大きな鏡にフェティッシュな情欲を刺激された。

麗しい装飾がされたそれに映る奴の姿を眺めながら行為に及べたなら、オレは忘我となって快楽に酔えるだろうと思えた。
奴を大理石の洗面台に座らせて正常位で、それから手を就かせて背後位で……そんな妄想を掻き立てられた。奴の悩ましい微笑みや声までもまざまざと想像して。

「ここで貴方を抱きたい」
「ふふ……見つかっちゃうよ。今だってもう十分に見られたら困る事をしているのに」
「判っているが」
「早くタクシーに乗ろう。実はオレもその気になっているから」
「そうか。じゃあそうしよう。だが鏡、今度そういう大きいのを玄関と寝室に置きたい」
「あはは! お前、この鏡にもその気にさせられたんだ? 浮気者」

奴はそう言って笑いながらオレの頬を叩いた。
オレは「そうじゃない、鏡に映った貴方に……」と言い訳をしたが聞き届けて貰えなかった。きっとオレを困らせる為に奴は聞いてくれなかったのだろうが。

「帰ったら口紅を塗りなおしたい」
「もっと厚く?」
「ああ、厚く濃く。オレのが口紅で真っ赤になるぐらい貴方に舐められて噛み付かれたい」
「良いね、それ。オレに噛まれても我慢出来たら舐めてあげる。傷を治療するみたいに」

ホテルの外は暗かったがニッと笑う奴の白くて尖った歯はハッキリとオレを誘惑していた。

ゾクッとした。
それに噛み付かれる痛みを思い出し、帰宅したらその痛みにたっぷりと甚振られる事を予想した。

ホラー(恐怖)やビザール(怪奇)は夏のものだと思っていた。
だがどうして秋にも相応しい。

冷えた秋風にそよがれれば誰かの温もりが愛おしくなって止まらなくなる。そしてメランコリックな想いを埋めようと執着する亡霊のようになる。亡霊に取り憑かれたように愛欲にふしだらになり、何日間も時間を忘れて愛しい人との快楽に溺れたくなる。本当に時間などなくなれば良いと思い、相手の肉体の中に自分の魂を住まわせたいと願い。

帰宅した後は、オレの予想した通りだった。

そして、やはり大きな鏡を玄関に飾ろうと決めた。
秋が終わってしまう前に、奴の姿をキレイに移してくれる鏡を探そう。

ついでに、猫様を可愛く映してくれる鏡が良い(笑)
昨日もオレ達は自分達の為に猫様の「おかえりなさいクルル!」をほとんど無視してしまったからな(汗)

我侭で飼い主達で申し訳ない。
そのお詫びに今日は美味しいオヤツを作って、いつもより丹念にブラッシングをしたので許して欲しい。

==========

という訳で、
本当は夕方に更新する予定だったのを夜になってしまって申し訳ありません。

友人から相談事を持ち込まれて携帯で話をしていたら夕方になってしまった。
そのお陰で今日の美しい夕暮れを見ることが出来たが……どうせなら奴と一緒に見たかったな。

皆さんは見られたか?
見逃した方も、今日は何か楽しい事があったなら何よりです。

今日で三連休は終わるが、来週もまた三連休だ。
だから今週も最後の日まで頑張ろうな。辛い事があっても、必ず幸運な出来事があると信じて。

今週も皆さんが健康で元気で幸運であるように応援しています。

では、今夜も楽しい夢を見てください。
おやすみ。

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