ぬくもりを知ってしまえば - 過去語り act.6
Tue.18.12.2012 Posted in 過去語り
*奴と付き合い前の過去の話です。

クリスマスパーティを数日後に控えた今日、オレの部署はその話題や準備に盛り上がっていた。
特に初めてパーティに参加する事になる奴は興味津々で、先輩達に様々な質問を投げ掛けながらパーティでの仕事内容を教えてもらっていた。

「どんなスーツで出る予定?」
「ダークグレーのスーツに華やかな柄のネクタイでも良いって聞いたから、それで」
「ブランドの?」
「ええ、○○○の」
「良いね!」

オレが外から戻った時はそんな会話がなされていた。
奴は今日も色白の顔に笑みを浮かべて楽しそうに話をしていた。

次の仕事に取り掛かるまで時間があったので、オレもその会話の中に参加する事にした。
本当は奴の傍に行きたかったが、意識して少し離れた向かい側に立って。

「当日の服装の話か?」
「そう、Y君が手頃なのを持ってなかったら貸そうかと思って」

オレがW君に声を掛けると奴は視線をこちらに向けた。ニコリと笑って、軽くお辞儀をして。

ただそれだけの事で外の寒さをすっかり忘れてしまうのが恋心のなせる技だと、オレはそんな下らない事を思った。
だが、実際そんなものだ。どんな状況であれ好きになった相手が傍に居ると神経の全てがそちらに向かってしまう。

「貸すって、W君とY君じゃサイズが合わないだろう」
「足の長さが一番合わなさそう」

そんな会話をして三人で笑った。
その内に身体のサイズの話になって、「手の大きさが身長に比例するらしいね」とかW君が言い出した。

「R君とY君の身長って同じぐらいだよね? 手の大きさもそうなのかな?」
「どうだろうな?」

オレはチラリと奴の方を見た。
奴もオレを見て、右手をパッと広げた。

「どう?」とW君は言った。
どうやら奴とオレで手を重ねて大きさを比べてみろと促しているようだった。

オレは躊躇した。
奴に触れることを意識して。
だが戸惑った態度を見せては2人におかしく思われそうで(さすがに意識している事はバレないだろうが)、オレも右手を出して奴の手と重ねた。

「やっぱり同じぐらいだね」
「そうですね。本当に身長に比例しているのかも」

2人はそんな事を話していたが、オレは初めて触れる奴の手の感触にくすぐったい気分になっていた。
大きくて骨ばって見えた奴の手だが、触れてみれば温かくて優しい感触であるように思えた。

そう思えたのは、オレがついさっきまで外にいて手が冷え切っていたからなのかもしれない。だがその日以来、オレは奴を思い浮かべる時にはその手の感触も一緒に思い出すようになった。

そして困った事に、奴の肌の温度や感触を知ってしまった為に、もっと奴に触れたいと思うようになってしまった(苦笑)

その日の夜からオレは度々眠れない夜を迎えるようになった。
好きな相手の身体の感触を知るのは悩ましいもので、相手を欲する気持ちが今までよりもずっと現実的になって行く。

だが奴は相変わらずで、オレの気持ちなどまるで知らぬと言わんばかりだ。
紳士的に、愛嬌たっぷりに、他の同僚や上司達に接するのとまったく同じ態度でオレに接してくる。

奴にそんな態度をされる度にオレは嫉妬する。
そんなに格好良くて可愛いならさぞ女にもてるだろうと。そして、夜になればあの優しい手でガールフレンドを抱いているのだろうと。

まあ、オレが奴に惹かれているなど、奴は露ほどにも予想できないだろうがな。

それはそれで安心する。知られるつもりはないのだから。
だからそれで良いはずなのだが、まったく以って今回の恋は我侭だ。

この忙しい時期が終わればすぐにクリスマスパーティだ。
会場で奴と乾杯できる機会があれば良いな。

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