「こんなところまで車で入れるんだ」
「途中にあった施設が開いている時は通行禁止なんだけどな」
オレ達はかなり深いところまで進んだ。
木々が茂ったそこはますます暗く、虫の鳴き声も聞こえない静寂に包まれて、まるで肝試しでも始めるような気分になった。
奴はピンヒールを履いていたので、足場の悪い山道を歩く事はできず、車を止めた場所を到着点にした。
そこで暫し馬鹿げた怪談話に花を咲かせた。山の木々の枝が伸びて手足を掴まれて、黒い巨根の亡霊に散々エロティックな事をされてしまう……というような、大学時代に読んだ嘘臭い怪談話を思い出しながら。
「性に未練を残した亡霊の仕業?」
「生前はオレ達みたいにドスケベだったんだろう」
「じゃあ未練を残さないようにたっぷり楽しまないとね」
「ここでも楽しむか」
車から降りて、まずはドレス姿の奴の写真を撮らせてもらった。
無論、Vサインをして笑っている写真などではなく、ボンネットに半ば身体を横たえてドレスをめくっているような淫らな写真ばかりを。
「もしかすると幽霊が写り込んでいるかもしれないよ」
「写ってたらネットで公開してやる」
「ふふ、やめてよ」
「じゃあ、山中のセックス動画でも撮って公開するか?」
オレは、半分ほど露出させた奴の尻に欲情を煽られて、冗談半分・本気半分の気持ちでそんな事を言った。
少し信ぴょう性を持たせる為に、カメラを三脚にセットして、本当に動画撮影のボタンを押して。
「公開は嘘だとしても、撮影は本当に?」
「もう始まってるぞ」
「撮られてるの? こんな恰好を?」
「ああ、ドレスをめくってペニスで膨れ上がった下着を露出している姿が撮られてるぞ」
いつでも冗談としてストップできる状態の筈だった。
だが、そんな事を言いながら奴の足や腰を撫でていたら、欲情が冗談を飲み込んでしまった。
奴もそのシチュエーションを楽しんでいた。
オレの愛撫に戯れて腰を揺らして、オレを挑発するように「嘘ばっかり、本当はやってないくせに」という言葉を繰り返した。そう言えば言うほど、オレがムキになって行為をエスカレートさせると判った上で。
……。
「ねえ、気持ちが良い。またいきそうだ」
奴は上半身をひねらせてこちらを向いてキスをねだった。
オレは奴を扱きながら自分も腰を前後に振って、次第に濃密になって行く快感の中で深くキスをした。
「お前も、気持ち良い?」
奴は両足をぎゅっと閉じてオレにそう訊いた。
既に十分に気持ちが良かった。
インサートはしていなかったが、ジェルでヌメらせた奴の足の合間を突き上げる度に射精の追い込みに持ち込むタイミングに迫られた。
だが、
「ちょっと待って」と不意に奴がストップを掛けた。
奴は身体の向きを変えてボンネットに座り、ドレスを捲り上げて大きく足を開いて自分のものを自分の手で扱きはじめた。そして、「キスをしながらいきたい。こうやって」と言った。
薄明るくなってきた視界に奴の蒸気した頬の色が映った。
それはとても悩ましくて、オレは夢中で奴にキスをしながら自分のものを扱いた。
「ああ、もういく……! ねえ、お前がしてるところを見せて」
互いに欲情に駆られた息を吐き散らした。
そして互いの射精寸前の自慰の姿を眺めあって、ほとんど同時に絶頂の液を飛ばした。
クライマックスの奴の姿が脳裏に焼き付いた。
淫らに腰を震わせながら喘ぐ姿が可愛くて、オレは奴を強く抱き締めて何度も「愛している」と囁いた。
……。
「服が……でも眠くて拭くのも面倒だ」
ボンネットの上で奴がグッタリと身体を倒した。
絶頂と共に眠気が襲ってくるのはお約束だが、その日は一睡もしていなかった為に半端ではない睡魔に襲われた。
「オレも駄目だ。近くのホテルに入って寝よう」
オレはカメラを片付けながらそう言って、ほとんど意識を失くしている奴を車内に押し込んで車を発進させた。
その前に、ボンネットの上でドレスを乱して倒れている奴の姿を何枚か撮影した。
早朝の空には不似合いな汚れた黒いドレスは、昨夜の淫らさを物語っているようで印象的だった。
やがて空はかなり明るくなって、そのお陰で運転中は眠気を覚ます事が出来た。
だが、山の麓のホテルに入った途端に意識が途切れた。
思い付きで出掛けた深夜のデートで、ろくな化粧も出来ず、香水も付け忘れたが、それでも物凄く楽しかった。
ホテルで6時間ぐらい熟睡した後、オレはカメラで撮影した動画をチェックした。
上手い具合に撮れていたら、いつか奴と一緒にベッドの中で観て、興奮するセックスのキッカケにしようと思いながら。
だが、真っ黒。
完璧に真っ黒で何も写っていなかった。
辛うじて喘ぎ声は入っていたが、それも良く判らない程度のものだった。
やはり夜間の撮影はちゃんとしたビデオカメラを使わないと無理なようだ(汗)
ガッカリしたが、ちょっとホッとした。
奴の淫らな動画は欲しかったが、自分のそれは余り見たくないからな。恥ずかしくて。
そんな感じで、連休の2日目の夜と3日目の朝を過ごした。
本当は昼間にデートをするつもりだったが、今回の連休は行き当たりバッタリなので何がどうなるかまったく判らない。
もっとも、昼間デートでもホテルに行くつもりだったけどな。
昨日入ったホテルよりももっと寂れたホテルに入って、キチガイ沙汰の……という予定だったが、それは連休後半に持ち越す事にしよう。
皆さんも休日を満喫されているなら何よりです。
今日で前半の3連休が終わるが、後半の4連休はもっと楽しくなるようにお祈りしております。
では、
今夜はゆっくりと休んで、明日は無粋な平日を過ごしてやりましょう(笑)
明日も皆さんが幸運であるように応援しています。
おやすみ。
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返信はこちらで行なっていますが、今は仕事と多忙を理由にお休みさせて頂いておりますm(__)m