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貴方を切り取って集めて
Wed.06.07.2016 Posted in 恋愛
昨日のゲリラ豪雨が来る前、オレは自分のオフィスにいた。その日は夕方以降の予定がキャンセルとなったので、オフィスで紅茶を啜りながら雨を眺めようと思った。

しかし、どうせならもっと高いところで眺めたくなった。
好奇心だけでそう思った訳ではない。
都内初の竜巻注意報が出たので、一体それはどれほど荒れ狂った姿であるのかを自分の目で確認したくなったからだ。

『今年の夏も日本らしからぬ異常気象だな』
『そうだね。で、どこに行くの?』
『○○○ビルの21階。あと1分で着く』
『良いな。オレも行きたい』
『来られないか?』
『すぐには無理。待っていてくれる?』
『もちろん。来る時は気を付けてな』

電話で奴とそんな話を交わした後、オレは高層階のカフェに到着した。

雨は車で移動している間に降ってきた。
周囲のビルには傘を持たぬ人達が困り顔で、あるいは呆気に取られた顔をして、強風に渦巻くように降り注ぐ雨を見上げながら立ち尽くしていた。

オレは傘をオフィスに置き忘れてきた事に気付いた。
だがこの雨ならすぐに上がりそうな気がした。一昨年と昨年と同じように。

案内された椅子に座ってアールグレイを注文した。
顔見知りのスタッフと「凄い雨になりましたね」とお約束のように話をした。

仕事用のスマホを出して何の連絡も入っていないことを確認した。
それから手帳を出して来週の予定を数件書き込んで、次にこの店のメニューを開いた。奴が来たらホットサンドでも頼もうと考えながら。

アールグレイを3分の1程飲んだ時に奴からのLINEが来た。
『あと15分ぐらいだ。暇つぶしにやっていて』と、メッセージには画像が添えられていた。

その画像には似たようなキャラクターがたくさん描かれて、

間違い探しゲーム!
3個つ間違えているのが混ざっています。探してね!

と書かれてあった。

思わず笑いが漏れた。
なんて子供ぽいものを送ってくるのかと。

しかし愛しい人からの課題を無視するわけにはいかずにオレは間違いを探した。子供向けのゲームなのですぐに見つかったが、その後も紅茶を飲みながら外の雨と交互に眺めていた。

15分後、奴は予告した通りの時間にやって来た。
湿気のせいでいつもより髪にクセが付いてクルクルしていた。当然、今日は仕事用のダークカラーのスーツを着ていたが、その可愛らしい巻き毛に似合うファッショナブルなスーツに着せ替えてやりたくなった。

「おまたせ」
「お疲れ様。完璧だぞ」
「ちゃんと3つ見付けたんだね?」
「ああ、ご褒美はあるのか?」
「ふふふ、そうだなあ。ここのアップルパイなんてどう? 毒が入っていそうなぐらい美味しいって、前にお前が言っていた」
「最高だ。お礼にホットサンドを貴方に捧げよう。ドリンクも付けてな」
「やった、お腹が空いていたから嬉しいよ」

窓の外は稀に見る荒れた天候で、そんな時に『毒林檎』の話などをしたせいか、その危険なムードにオレはワクワクしていた。

マゾヒストの性か?
それとも奴の髪が乱れていたせいか?
もしも奴が冗談にでも「毒林檎だ、食べろ」と言ったならオレは従順に喰らいついただろう。

奴はエスプレッソをオーダーしてオレのアールグレイと乾杯した。
オレはカップに唇を当てる奴の顔を眺めていた。
出会ってからもう5年以上となるが、奴の唇は相変わらずぽってりとしていて柔らかそうだ。

「……映画、行かないとな」
「そうだね。時間は取れそう?」
「取る。秋まで観たい映画が続くからな」
「次は何を観ようか?」
「貴方の好きなので良いぞ。ところで写真を撮って良いか?」
「うん? 映画の写真?」
「いや、貴方の写真」

官能的な気持ちになると相手の写真を撮りたくなる癖は相変わらずだ。その気持を収める為に映画の話を振ったが、結局すぐに誘惑に負けてしまった。

オレはスマホのカメラレンズを奴に向けた。密かに欲情を孕みながら奴を撮りたいと思ったのはかなり久し振りで、毎夜のように身体を重ねては写真を撮りまくっていた頃の事を思い出した。

あの頃、底なしに奴が欲しかった。
だが肉体も心も時間も呼吸も全て奪うことなど出来るはずもなく、その代わりに奴を切り取るように写真を撮って集めていた。

「急に、どうして?」と奴は戸惑った笑みを浮かべた。
「髪がクルクルして可愛いから」とオレは答えた。

「セルカークレックス(巻毛の猫)みたい?」と奴は言って笑った。そしてエスプレッソのカップを置こうとしたがオレは「そのままで」と言ってシャッターを切った。

出来上がった写真の奴は猫のようだった。カップに口をつけていたので少し上目遣いになって大きな目が強調されて。
良い写りだったのでオレは満足してそれを奴に見せた。「セルカークレックスだな」と言って。

「思ったより髪がボサボサだ……」
「伸びたから余計にクルクルするようになったな」
「急いで来たから整える暇もなくて。みっともなくない?」
「全然。もうちょっと伸ばしても良いんじゃないか? その方が落ち着くし、帽子を被った時に可愛く見える」
「そう?」

奴は写真をじっと見詰めながらエスプレッソを飲んだ。
そうしている内にホットサンドとアップルパイが運ばれて来た。そしていつの間にか雨は上って、雲の切れ間から青空が見えていた。

「あっという間だったな」
「富士山が見えるよ」
「ああ……山に掛かる雲がキレイだな」
「立ち上る煙みたいだ」

料理を食べ終えるまでオレ達は取り留めもなく話をした。
次第に空が穏やかに晴れるまで。風に乗って流されて行く雨雲を目で追いながら。

レストランの中は静かだった。この雨のせいでいつもよりずっと人が少なかった。
オレ達はここに雨を見る為に来た。だが何となく、雨宿りの為に来たような心地になっていた。──などと、ほどんと意味のない話ばかりをしていた。

そろそろ店を出る事にした。
オレが伝票を手にした時、奴は「髪のことだけど」と言った。

「髪?」
「うん、お前は長い方が良い? それならもう少し伸ばすよ」

奴は照れたような顔をしていた。
その向かいでオレは嬉しそうな顔をしていたに違いない。奴がオレの好みに合わせて髪型を変えてくれるなど、まるで奴がとてもオレを好きでいてくれているようで。

==========

という訳で、
何やら色々と仕事を持ち込まれて忙しい。
もっとも来週の頭には落ち着く筈だ。今日から日曜日まで出張で(ツイッターでは土曜日と言ったが変更になった)、それが終わったら3連休だ。本当は2ヶ月のバカンスが欲しいが今回はそれで妥協してやろう。

その内一度でも更新できたら嬉しい。
出張中はスケジュールが曖昧なので時間に余裕があれば……なのだが。

それにしても毎日蒸し暑いな。
関東は水不足なので雨が降ってくれるのは有り難いが竜巻は困るぜ。

去年も国内ので竜巻が報道されていたな。
今年は出来るだけ穏やかな気候であって欲しいのだが。

何にしろ今年もゲリラ豪雨が多くなりそうだ。
外出の際には雨具をお忘れなく。ずぶ濡れになって風邪を召しませんように。

では今夜も皆さんが楽しい夢を見ておりますように。
そして明日も幸運な一日となりますように。

おやすみ。

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