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春猫抄
Mon.13.06.2016 Posted in 恋愛
春の終わりを思わせる蒸し暑い夜、オレは奴と浅草のレストランで待ち合わせをした。

奴は先にテーブルに着いていた。けれどオーダーはまだで、オレが到着したら冷えたビールで乾杯するのだと待っていてくれた。

「待たせてすまない。空腹だろ?」
「お疲れ様。10分も待っていないよ。お腹はグーグーだけどね」
「良し、たくさん食べよう。まずはビールだな」
「お前が来るまで、他のお客さんが美味しそうにビールを飲んでいるのを眺めていた」
「すまない! 今夜のビールは旨いぞ。夜になった今もまだ暑いからな」

オレ達は先にビールをオーダーした。
そしてビールで乾杯した後に料理を頼んだ。

「今夜は何を食べるんだ?」とオレが訊くと、
「猫セット」と奴は答えた。

猫セットとは、ポタージュとビーフシチューとパンとクリームソーダを注文する事を意味する。それが何故猫セットになるかと言うと、全部合わせて金額が2,220円(ニーニーニーと猫の鳴き声)になるからだ。

それを思い付いたのはオレだった。奴に「猫セットだぞ」とレシートを見せながら言ったら、それ以来奴はこのレストランでは猫セットばかりを頼むようになった。もっとも、元からポタージュとビーフシチューが好きだからでもあるのだが。

無事に食事を終えた後、手土産を持って友人宅にお邪魔した。

友人とはボストン君の事だ。少し前に彼は仔猫を飼ったが、なんと最近、その仔猫の友達としてもう一匹仔猫を飼ったのでオレ達は2匹の仔猫を目当てにちょくちょく彼の家に遊びに行くようになった(笑)

二匹は違う種類だが似ていて、まるで髪型の違う兄弟のように見える。

あの人が猫好きになるとは夢にも思わなかった(かつては全ての動物に対して無関心に近かった) 年齢による変化だろうか? それともオレや奴の影響だろうか? 忙しい身ながらも世話を焼かせる二匹を可愛がっている。その様子はまるで親……というよりも歳の離れた兄のようだ。ヤンチャな二匹にじゃれつかれてもクールに相手をしている。仕事の話を電話でしている最中も。

「完璧に慣れたな。二匹とも良く懐いてるじゃないか」
「人懐こい性格だからな。お前のアドバイスの通り、口に合う餌を何種類か見付けたぞ」
「大変だったろ? 何種類の餌を買って試したんだ?」
「七種類だ。まったく食べない餌が残っているが持って帰るか?」
「そうする」

オレとボストン君がそんな話をしている間、奴は二匹の仔猫と戯れていた。一緒に鳴いたり、すりすりし合ったり、転がってじゃれ合ったり。

奴もまた二匹と兄弟のようだった。ちょっと年上のお兄さんという感じ。すると奴とボストン君も兄弟ということになるので、オレも早く猫になって兄弟の輪に混じらねばと可笑しな焦りを感じた。

その夜はオレも奴もボストン邸に泊まることにした。すっかり飲み過ぎて帰るのが億劫になって。

オレ達は客間を借りて、ボストン君は自室に戻った。
時刻は1時で、いつも早く眠っている奴はもう眠そうな顔になっていた。

「そろそろ明りを消すか。オレはまだ少し起きているから先に寝ていてくれ」
「もうちょっと起きてる。でも今日はずっと仕事でモニターを見ていたから目が疲れた。こういう時、猫のお腹に額を当てると治るけど猫はB(ボストン君)の部屋だし」
「あの仔猫ちゃん達はボストン君の行く所に付いて行くからな。目に蒸しタオルを当てるか? 気持ち良いぞ」
「お願い」
「ああ、ちょっと待っていてくれ。ベッドに横になって目をつむってな」
「ありがとう」

オレはポットのお湯をタオルに掛けて温めた。そしてそれを奴の目にそっと載せた。
奴は、気持ち良い! と言った。もっと起きていたいけどこのまま眠ってしまうかも、と。

「よほど目が疲れていたんだな」
「昨日と一昨日はほとんど徹夜だったからね。目が勝手に閉じそうで、モニターに映る文字が全部『ニャー』に見えたよ」
「ニャー? 目が疲れすぎて幻覚か?」
「そんな感じ。目がチカチカしてちゃんと読むのも面倒で全部ニャーに見えてきた」
「ははは。今もしゃべるのも億劫だろう? ニャーで良いぞ」
「ニャー」
「して欲しい事があったら、その時だけは人間語で言ってくれ」
「ニャー、足裏のマッサージもしてくれたら嬉しいニャー」
「良し」

オレは奴の足元に回って肉球……ではなく足裏マッサージを始めた。ロクにツボも押さえられない素人マッサージだが奴にはなかなか好評で、それをした夜は良く眠れると言ってくれる。

片足10分程。両足で20分程。
その間に奴は眠るかと思ったがずっと起きていた。何も語らずに静かだったので「寝たか?」とオレが小声で訊くと、「ニャー」と奴もまた小声で答えた。

モニターの明るさに刺激されて眠いのに眠れなくなる事は良くある。奴もきっとそんな状態なのだろうと思い、オレは奴が眠るまで甲斐甲斐しくお世話をすることにした。

腰と肩もマッサージをして、横になったまま飲めるようにストローを差したストローワインを渡し(流石に奴は笑った)、口元を拭って、冷房で足が冷たいと言ったのでオレの胸に押し当てて温めた。

その時、オレはとある小説を思い出してそのタイトルを呟いた。
奴は「ニャ?」と言ったが、そろそろ眠りに着く頃なのか声が掠れていたので明日話すことにした。

「おやすみ」
「おやすみ」

互いに頬にキスをして部屋の明りを消した。
オレも奴の隣に横になって目を瞑った。今夜は外泊だが奴と一緒なので、自宅に居る時と同じように安心して眠れそうだと思いながら。

しかし数秒後、ボストン君の部屋の方向から(恐らく廊下?)、ダダダダダダ! バーン! ニャニャ! ギャ! という怪音が聞こえた。仔猫たちがじゃれあいながら走ってドアに打つかって鳴いた音だ。

オレと奴は吹き出した。
「今夜は暖かいから元気だね」
「ボストン君も実は苦労していそうだな」
などと言って、何となく身体を寄せあってもう一度キスをして再び目を閉じた。

実はこの春から奴が仕事に就いてオレはちょっと寂しくなっていたが、こうして奴を労って応援する生活が戻って来たのもまた悪くないと思えた。

帰宅するといつも奴が食事を作って待っていてくれた日々は確かに満ち足りていた。オレは土産を買って、今夜はどんな話をしうようと考えながら帰路を辿るのが習慣となっていた。

しかしオレもそうであるように奴も自分の幸せを選ぶのは奴自身だ。その為にも頑張ろうとしている仕事に難癖を付けるなどオレは出来るはずもない。誰しも自由に好きな環境を選べる立場にあってこそ本当の幸せを手に入れられるのだから。

また奴と仕事の帰りに待ち合わせて食事をしよう。
かつてのように、デートをするように、たまには洒落たレストランでも予約して。そして奴の目が疲れた日には蒸しタオルを作ってマッサージをしてやろう。春琴抄の佐助になりきって。

……そういえばそういう機会って激減していたな。これもマンネリ化の原因になるのだろうな(笑)

==========

という訳で、
奴君、お仕事復帰おめでとう!

オレも頑張るので貴方も頑張って欲しい。疲れたらいつでも猫になってゴロゴロしてオレをコキ使って良いからな!

さて今日は生憎の天気だ。雨が降って気温も低くて寒い。
ずっと暖かな日が続いていたので気温差が著しい。
こんな日にこそ体調を崩すので、どうか皆さんもお気を付け下さい。

都内は電車も止まりまくっていたようだな(汗)
午後には天気が回復するように祈って、今夜も皆さんに楽しいことがあるように応援しております。

本日もお読み下さってありがとうございました。
次回は……何を書こう? 以前に頂いたリクエストにしようか。

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