水面の桜と陽の光
Fri.03.04.2015 Posted in 恋愛
奴は休日だった。
しかしオレは仕事だった。
だが天気予報は、明日から天気が崩れて桜の最盛期は終わると言っていた。

「仕事を抜けだすから吉祥寺に行こう」
「ええーー!!」

奴は驚いた超えを上げながらも嬉しそうな笑顔だった。
それは明らかに『その提案に賛成!』の顔だった。

「良いの?」
「一時間ちょっとなら何とかなる」
「良かった!」
「井の頭恩賜公園の桜を見に行きたがっていたもんな。だけどチャイの店には行けないぞ?」
「良いよ。公園内にお店があるみたいだからそこで食べよう」

本当はもっと早く行くつもりだったがオレに予定外の用事が入って延期続きとなっていた。
奴はとても楽しみにしていたので申し訳なかった。だから(花見日和の)最後のチャンスに成り得る今日ぐらい、昼間のスケジュールを誤魔化して残業が増えても一向に構わなかった。

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良い天気だった。
平日の昼間のせいか予想していたよりも園内は空いていた。

もっとも、本当は遊びたかったボートは混雑の為に諦めなくてはならなかった。だが、艶やかに咲く満開の桜を眺めながらのんびりと語らい、気ままに売店のスナックを摘むだけでもとても楽しかった。

「たこ焼きがあって良かったね!」
「ああ、これだけでも来た甲斐があった」
「お前は本当にたこ焼きが好きだね。ソフトクリームを食べる? 今日のお礼にご馳走するよ」
「ありがとう。じゃあオレは貴方にビールをおごるぜ」
「お前におごり返されたらお礼にならないよ」

満開の桜の前のベンチに座ってジャンクなランチを食べた。
オレは2件ほど電話で仕事の話をしなくてはならなかったが、その度に奴は桜の木々の間を歩き回りながらオレに手を振ったりカメラを向けたりした。

奴のそんな姿を見ていると、シビアな仕事の話をしているというのに心が和んだ。ついつい先方に『そんな事より今日は桜が綺麗ですよ』などと言いたくなって。いや、『今、オレの彼氏が猫みたいに桜並木を散歩しているんです。猫って木に頭を擦り付けたりして可愛いんですよ』などと惚気けたくすらなった。

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ランチの後、『近々行ってみよう』という事になったジブリ美術館の前まで歩いた。
その途中、朱塗りの社があったので参拝することにした。

「弁財天だ」
「桜が咲いているから華やかな感じがするね」
「桜のせいだけじゃないかもな。不思議な事に女神様を祀っている神社って何となく華やかな感じがするんだ」
「弁財天って女神様なの?」
「江ノ島にも祀られていたのを覚えていないか?」
「そういえば!」
「水のある場所に祀られる女神様で、音楽や言葉や学問の才能とか、財が増えるご利益をもたらしてくれるそうだ」

オレは奴に(受け売りの)ウンチクを語り、それから参拝して、小銭を洗って、おみくじを引いて、お守りを買った。

おみくじの内容は秘密だ(笑)
満開の桜の元でおみくじを引いたのは初めてで(本当は何度かあるのかもしれないが昔の事で忘れてしまった)、それだけで何やら新鮮な気力や幸運を与えられたような気がした。

しかしその後、奴が検索して知った事だが、
どうやらこちらの弁財天様、良くない(お互いが不運となる)縁を切るご利益も齎すようだ。それでカップルで参拝した後に別れる事なったという話がチラホラ。

当然だがオレ達は「良くない縁じゃないから大丈夫だ!」と言い合った(笑)
現にカップルで参拝しても別れるどころか結婚された方もいらっしゃるのだから慌てることはない。オレ達もきっと同じでますます縁が深まるように守って頂ける事だろう。……と言い切れるオレは自信過剰か(笑)

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そろそろオレは仕事に戻らなくてはならない時間になったので公園を後にした。
来た時とは別の出口から出たのだが、その通りに奴の大好きなものを扱うショップが2軒もあった。

「ダヤンだ!」
「おう、たくさんあるな!」
「良いな、可愛い!」
「プレゼントするぞ。どれが良い?」
「ええ!」
「良いから早く、昇進祝いだ」
「あ、えっと……どれも可愛くてすぐに選べない」
「何個でも良いから」
「あー」

時間がなかったので奴に無理矢理に即答を迫って悪い事をした(笑)

だが奴には何度でもお祝いをしたかったので、偶然にちょうど良いものがあって良かった。
奴は「ありがとう。明日から使うんだ」と言って笑った。
その顔を見てオレは春の陽気のような気持ちになった。

そこでオレ達は別れ……る筈だった。
だが今度はそのすぐ隣に、奴の大好きなドイツソーセージやパンやビールなどを扱うショップがあるのを発見した。

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「買いたい!」
「おう、どれが良い?」
「あ、またゆっくり選べないんだ?」
「もう時間ギリギリなんだ」
「先に行って、オレはゆっくり選んで帰るから」
「ああ、そうすりゃ良いんだな。じゃあオレの分もよろしく」
「もちろんだよ」

今夜は美味しいソーセージの料理を作る。
別れ際に奴はそう言った。
オレは後ろ髪引かれながら仕事に戻った。奴がどんな料理を作ってくれるのか、とても楽しみにしながら。きっと美味しいのを作ってくれるに違いないと期待しながら。

(そのショップはイートインも出来るので時間があれば奴とビールで乾杯したかった。ついでに、ジャンクフードなランチだけでは食べ足りなかったのでハムステーキも頂きたかった)

そしてその夜、
帰宅してみれば、奴はウインナーとジャガイモたっぷりの美味しそうなジャーマンポテトを作ってオレを待っていてくれた。マフィンまで準備して。

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「豪華だな! マフィンも買ってきてくれたのか」
「桜マフィンとリンゴマフィンにしたんだ」
「あの店のだよな? ありがとう、食べたかったんだ」
「お前に喜んでもらえるお土産になって良かった」

感謝と愛しているのキスをしてからオレ達はテーブルに就いた。
ホクホクと美味しい料理を食べながら今日の花見の話をした。
そして約束した。
もう桜の盛りは終わってしまうが、こんなに楽しいならあと一度だけでも今日みたいな花見をしようと。たとえ花弁がほとんど残っていなくも良いから、と。

==========

という訳で、今日は楽しかった。

心残りはボートだが、それはジブリ美術館に行くときに狙う事にした。ジブリ美術館もかなり前から奴と行こうと約束しているのにまだ行けていなくて申し訳ない限りだ。

事情があってなかなか果たせない約束ってあるよな。
皆さんの恋人や友人やご家族にもなかなか約束を果たしてくれない方がいらっしゃるかもしれないが、きっとその人は心の中で焦っているので、どうか大目に見てあげて下さい(笑)

明日から天気が崩れるようだが(風が強かったり雨が続いたり)、しかし桜はまだ咲いている。
引き続き穏やかで悩ましい季節をお楽しみ下さい。
週末も皆さんの幸運を祈っています。

では、今宵も心穏やかに幸せな夢を。
おやすみ。

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