桜シャワー
Thu.02.04.2015 Posted in 恋愛
その夜、
待ち合わせた場所には桜の木が数本並んでいた。
近くには名所があって随分と賑わいでいるようだったが、そこはろくに照明もなくて閑散としていた。おまけに3分ほど葉桜となっていた。

「ここも満開かと思っていたんだが……すまない」
「どうして? 花弁が散っているのが素敵だよ」

奴はオレの謝罪を躱してヒラヒラと落ちる花弁に手を伸ばした。
実は花弁が降る桜の光景が最も好きなオレも奴を真似て手を伸ばした。

暗い空には桜色の雲が広がり、そこから雪のような花弁が風に翻弄されながら落ちてきていた。
しかし、ほんの数本の桜から散る花弁はそう多くはなく、奴はなかなか花弁を手のひらに乗せる事が出来ず、オレの方に掴んでしまった。

「取れたぞ」とオレが言えば、
「先に取られた!」と奴は悔しがった。
「もっと取れたら貴方に桜シャワーが出来たのにな」とオレは言って、何とか掴み取った3枚の花弁を奴の頭の上で散らした。

「シャンパンシャワーみたいに?」
「ああ、昇進のお祝いだ」
「嬉しいな」
「おめでとう」
「ありがとう」

奴は昼間の着任の挨拶の時のようにオレを抱き締めた。また周囲に憚らず、あたたかな腕の中にしっかりとオレを捕らえた。

オレも奴を抱きしめ返した。何か祝いの言葉を言おうかと思ったが何も言わず、この季節特有の非現時的な恍惚感に身を任せた。この幻想的な夜桜の元でなら自分の意思を開放しても良いのだという錯覚を覚えて。

「もっと桜が散ったら桜シャワーをするか」
「花弁をたくさん集めて?」
「ああ。桜シャワーをした後は、その花弁を浮かべた桜風呂なんてどうだ?」
「排水口が詰まっちゃわない?」
「目の細かいネットを被せておけば大丈夫だろう」
「あははは、急に現実的な話だね」

この多忙期が終わればす少しはゆっくりと過ごせる。そうしたら……。

その日には桜色のロゼを買おうと約束した。
それから一日中ベッドにいても大丈夫なように美味しい食べ物やデザートも準備しようと。

桜は散り始めたが桜の香りにむせぶ時期はこれからだ。
近頃ほとんど潤いのなかったオレ達に春の盛りを与えて欲しい(笑)

==========

これを書いている最中、近所の猫の凄い発情期の声が聞こえた。
オレも忙しくさえなければそれに混じって「う~~っうにゃ~~~おおおぉぉぉ~~~」とか呻けるのだがな。全裸にバーバリーコートだけを着て。

皆さんの調子はどうだろう?
忙しかったり寂しかったり花粉症だったりする中も、穏やかな春の陽気を満喫されているなら幸いです。

何でも関西と関東は今日を最後に天気が崩れるようだ。
最盛期を逃して後悔しないように、今日は満開の桜をお楽しみ下さい。

では、今夜も心安らかに楽しい夢を。
おやすみ。

■追記:オレが奴の胸に挿したアイスランドポピーは、オレとハグしたり、挨拶などで歩き回っている内に、しおれてどこかに落として失くしてしまったそうだ(汗)

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