キャンドルの灯りを消した時に
Sat.03.01.2015 Posted in 恋愛
正月只中の深夜に、ごきげんよう。

昨夜は夢を見たか?
オレは平凡な夢を見た。
オレも奴も普段着でキッチンに立っていた。
キッチンには日が差して明るくて、不安な様子はなく穏やかだった。

三毛子に朝ごはんを催促されて目が覚めた。
その時までは他の事(会話の内容や、何を作っていたか)も覚えていたが、二度寝したら忘れてしまった。

だが、オレは2度目の眠りに落ちる時にこう思った。
良かった、良い夢を見た。
だから今年はきっと悪くない日々を送れるはずだ。

その証なのか、今日は数日ぶりに奴とチャットで話をする事ができた。
奴の低くて静かな声がとても懐かしくて、オレは耳元がくすぐったくなって何を話したら良いのか判らなくなった。

「猫は元気だぞ」と、結局はそんな当り障りのない事を言った。
けれども奴は嬉しそうに笑って、「こっちにはF(猫様の事)にそっくりな猫が三匹もいるんだよ!」と言った。

奴が不安に駆られていないか心配だったが、奴は向こうでの出来事をたくさん話してくれた。
祖国の美味しい料理のレシピを手に入れた事も、兄弟の小さな娘さんとスケートして遊んだ事も、オレと2人で選んだ土産はどれも大好評だった事も、祖母さんがニットのストールを抱き締めて涙ながらもオレとの関係を祝福してくれた事も。

「オレも、祖母の涙脆いのがうつったみたい……」

奴はそう言って暫く俯いて泣いた。
傍にれば抱き寄せて背中を撫でられたものを、それが出来なくてオレはずっと奴に語り掛けた。祖母さんのあたたかな気持ちが嬉しいな。来年はオレも必ずそこに行って貴方との事を祖母さんに誓う。──そうした事を繰り返し囁いた。

「ごめん。あまり話せないのに、時間が勿体無いね」
「気にするな。目が真っ赤だ」
「あはは、恥ずかしいな。あんまり見ないで。そうだ、今回は予定通りに帰るよ。今の治療が良いみたいで、あれから安定しているようだから」
「そうか、取り敢えず安心だな」

奴は笑顔で頷いた。
その安定した状況がずっと続けば良いと、オレは愛しい人の顔を見ながら祈らずにはいられなかった。

心の支えを失くすのはどんな気持ちなのだろう?
オレはまだ判らない。
そこまで大切な人を失った事がないから。

だが大切な人が悲しんでいる姿を見るのは辛い。
力ない姿で寂しく泣かれたら、胸が痛んで堪えられない。

奴がそんな立場となった時には、奴の気持ちが判るまで奴の言葉に耳を傾けたい。
大きなものを失った穴は生涯そのままなのかもしれないが、オレもまた生涯奴の傍にいると決めたのだから。奴の胸に空いた穴と上手く同居してみせよう。

「そろそろ行かないと。また明日も話そう」
「明日も大丈夫なのか?」
「うん、また短い時間ならパソコンを借りられる」
「良かった。都合の良い時間にメールをくれ。その時間は必ず空けておく」
「ありがとう。愛してるよ」
「オレも愛してる」
「うん……」

奴はまだ何か言いたそうに唇を動かしたように思えた。
だが時間が限界だったらしくモニターの映像はプツリと切れた。

目の前が暗闇になったように感じてオレは目を閉じた。
奴は本当はもっと不安な気持ちをオレに言いたかったのではないか? などと考えながら。

その時、不意に思い出した。
キャンドルに火を灯して相手の顔を照らし、急に火を吹き消す。
そうして暗闇になった時、相手の顔のどこが一番鮮明に頭に浮かぶか。……かつて奴とそんな遊びをしたのを。

オレは「唇」と答えた。
奴は「目」と答えた。

心理テストではないので、どこを選ぶとどんな意味があるのかは判らない。
ただ今回もオレは奴の『唇』を思い出していた。
暗くなったモニターの向こうで、奴が本当はオレに話したかった事を呟いたような気がして。

明日もまた話したい。
どんな事でも聞きたい。
一人きりで過ごすのは不安を掻き立てるものだから言葉で埋めたい。
かつて貴方はオレに、不安な時にはそうするようにと教えてくれたのだから。

==========

という訳で、
今日は初詣で奴の事をしっかりと願ってきた。

奴が「オレの分のおみくじも引いてきて!」と言っていたので引いてきたが、結果は……なかなか良いはないか! といったところだった。

早くも正月は3日目を迎える。
皆さんも楽しく過ごされているか?
まだまだ休みは続くので(今日から仕事始めの方は本当にお疲れ様です汗)、残りの休日も快適に愉快に温かくお過ごし下さい。

では、明日も猫達と共に皆さんの幸運を祈っています。
今宵も良い夢を見られますように。

おやすみ。

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