腕枕
Wed.26.11.2014 Posted in 恋愛
三毛子は度胸のある猫だと思っていた。
だが昨夜の出来事で、実はとても怖がりな猫なのだと判った。

「布団の上で吐いたから、オレはすぐに起きて片付けたんだ。その時ちょっと乱暴に布団をバサバサさせてしまってな。それから三毛子は部屋の隅で丸くなって固まってしまった」
「そうだったの……」
「怖かったんだろうな。布団を変えて三毛子を抱いたらピクリとも動かずに硬直していた」
「捨てられる前に辛いことがあったのかもしれないね」
「ああ。その姿が物凄く可哀想で、オレは三毛子を隣に寝かせて腕枕してやった。ずっと頭を撫でたら安心して眠ってくれたが……」
「明日、戻ってきたら優しくしてあげよう」
「ああ」

昨夜、オレはそんな無神経な事をしてしまった。
三毛子は保護する前は恐れ知らずな顔をして初対面だったオレにご飯を求めて来たが、あれは生きるか死ぬかの飢えを感じながら必死でやっていたのだろう。

オレはそんな三毛子の為に今日の仕事の帰りにプレゼントを買った。
奴に付き合ってもらって、三毛子が好みそうなオヤツと、毛布と、ホットカーペットを。

「おかえりなさいのプレゼントだね」
「オレの事を許してくれるかな?」
「腕枕で眠ったんだから大丈夫だよ。お前の気持はちゃんと伝わっているよ」

そうなのかもしれない。
だが本当は、三毛子がオレを許してくれるかどうかよりも、三毛子をあんな姿にしてしまった自分が嫌で落ち込んでいた。

小さくて力のないものの惨めな姿を見るのは苦痛だ。
オレの母が父から暴力を受けていたせいか、暴力によって石のように身体を丸くする姿を見ると胸が裂かれそうに痛む。また、そんな母が仔猫を掴んで庭に投げ捨てる姿を見たこともあり、それ以来オレはますますそうしたものを見るのが怖くてダメになった。

「三毛子が戻ったらまた腕枕をする」

買い物を済ませてエスカレーターに乗った時、オレはそう言って奴の肩に顔を寄せた。すると奴は「それが良い」と言ってオレの頭を撫でた。目の前に奴がいてくれて良かったと、オレは弱気を吐ける安住の地がある事に感謝した。

動物病院からは何の連絡もない。
それは三毛子の手術が問題なく終わったからだ。

明日、三毛子はエリザベスカラーを巻いて退院するのだろうか?
病院に連れて行かれていきなり手術を受けさせられて、また怖がっていなければ良いのだが。

そんな手術の前夜にオレが怖がらせてしまって本当に馬鹿な事をした。
それにしても保護した猫の事で一日中罪悪感に付き纏われるなんて、オレはもう立派な親バカだな。なんて、今更か。

今日は先日の楽しい話を書こうと思っていたが、それは明日に変更した。
今夜はそれよりも、三毛子の無事を祈りながら新しい猫ベッドを作ってやりたくてな。

猫ベッドといっても大したものではなく、手頃な段ボールに新しい毛布を敷き詰めただけのものだ。オレが選んだ箱のサイズと、奴が選んだふわふわの毛布を気に入ってくれたら嬉しい。

それから三毛子専用の1畳用ホットカーペットもセットした。
リビングには大きなホットカーペットがあるが、三毛子はまだ猫様を怖がっているのでリビングには行けない。だから一人でオレの部屋にいても寒くないように用意した。手術の傷が冷え込みによって痛んだら可哀想だしな。

「至れり尽くせりだね」
「お姫様だからな」
「そうだね。オレ達のお姫様だから大切にしようね」
「王子様(猫様のこと)に嫉妬されないようにな」
「ふふ、お姫様も王子様も可愛がろうね」

そういえば三毛子は我が家の紅一点になるな。
格別な待遇にしてやりたくなるぜ。
可愛い花も用意すべきだったか? しまった、猫草を買い忘れたぜ!

早く明日になって欲しい。
明日は必ず定時前に上がってすぐに迎えに行くぜ。
手術と疲れでぐったりする三毛子の周囲でバタバタと焦らないように気を付けよう。

……そういえば、エリザベス・カラーをしていたら、それが取れるまでは腕枕はお預けか?

==========

という訳で、明日は楽しい話題を書きたいと思います。
三毛子のご報告もさせていただきますので、明日もお付き合い頂けたら嬉しいです。

三毛子の事でもたくさんのコメントをお寄せ下さってありがとうございます。
短文になりますが後日、感謝のお返事をさせて頂きます。いつもオレ達を見守って下さって本当にありがとうございます。

では、今夜も心安らかに幸せな夢を。
おやすみ。

本日も2つのバナーのクリックをお願い致します!
にほんブログ村 セクマイ・嗜好ブログ 同性愛・ゲイ(ノンアダルト)へ 同性恋愛  国際恋愛

コメントはこちら携帯版)へどうぞ。大変に申し訳ありませんが只今コメント返信は不定期とさせて頂いております。

Theme: 男同士の恋愛 « 恋愛

topBack to TOP