とある夫婦と猫の物語
Thu.06.11.2014 Posted in 恋愛
今日まで猫の話となるが、お付き合い頂けたら嬉しいです。

昨夜も今夜も三毛子と茶トラ子にご飯をあげることは出来なかった。
けれども昨日、その2匹の母猫と思われる三毛猫を見掛けた。三毛子と一緒に走っていたのだが、その姿は酷くやせ細っていた。

「ガーナ子の3分の1しかない」

オレはそんな冗談を言ったが、まったく笑えないほど心配になった。

なんであんなに痩せている?
病気なのか?
まだ1歳ぐらいの小柄な猫なので出産がきつかったのか?

それを奴に話したら、しんみりとした雰囲気になってしまった。
オレも奴も猫と触れ合うことの多い人生で、そうなれば必然的に猫の痛ましい姿に遭遇する事もあり……それらをここに書き出すのは気が引けるので控えるが、何時しかそんな話を語り合っていた。

だが、すぐにオレは話を変えることにした。
オレは言霊というものを信じている。だからオレ達が気落ちしてそんな話(猫が不幸になる話ばかり)をしては、あの猫の親子にとって良くないように思えて。

だから猫が救われて大切に育てられる話をした。
ちょうどオレの身近に、既に老いによって他界されているが、そんな夫婦がいたから。

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もうずっと昔の事だ。
とある家に嫁いできた女性が、嫁ぎ先の家族から酷い虐待を受けて自分の産んだ子供2人と無理心中を図った。

子供2人は亡くなった。だがその女性は生き残った。
彼女は刑務所で罪の償いをした後、細々とパートをして無気力に生活を繋いでいた。

同じ頃、とある金持ちの妾の息子として産まれた少年がいたが、彼もまた正妻に酷い虐待を受けて家出をした。
彼は自分を助けてくれなかった母親を呪い、自分を虐待した正妻に復讐を誓い、死に物狂いで働き、何もない田舎ではあったが山や畑や家を持つまでとなった。

そんな彼女と彼が、何かをキッカケにして知り合った。
やがて交際を重ねる内に身も心も許し合える間柄となり、彼女は自分が犯した罪の全てを彼に打ち明け、彼は心の中に秘めていた鬼の心を彼女にすっかりと打ち明けた。

2人にとってそんな出会は初めてだった。
2人は幾晩も泣きながらに今の喜びを語り、互いの罪を許し合い、彼女は彼を深く慈しみ、彼は彼女を幸せにすると誓った。

彼には既に妻と4人の子供がいたが離婚した。
そして彼女と再婚して、息子達と離れて、山と畑の中にポツリと佇む一軒家に住む事にした。息子達が彼女の過去を避難する言葉を彼女に聞かせたくないという彼の考慮からだった。

子供は作らなかった。
とうに初老と呼べる年齢であったし、彼女がもう二度と子供は持てないと言ったから。

その代わりに猫を飼った。
はじめは2匹だったが、それが子を産んで、あっという間に賑やかになった。
猫達は広い畑と山を駆け回って元気に過ごした。ご飯は彼女からもらっていたが、自分で小動物や昆虫を捕まえて食べる事も多かった。

間もなくして彼は仕事の一切を息子たちに任せ、自宅で猫を構ったり、趣味の岩造りや盆栽をして過ごすようになった。

山の麓の生活は、訪れる人も通る車も少なくて、寂しいほど静かだった。
けれど、たまに訪れては遺産相続の話をする息子達よりも、無邪気に屈託なく接してくる猫達と語らう方が楽しくて、寂しさはほとんど気にならなかった。

木と土の匂いのする家の中で、たくさんの猫達に囲まれて、2人は幸せだった。
朝になれば裏庭の井戸から水を汲んで庭に巻き、夜になれば木の風呂を沸かす。そんな習慣を積み重ねながら、2人は、彼が先に亡くなるまで穏やかな生活を猫と共に過ごしていた。

「にゃあちゃん達は私の子供なんだよ」

オレは彼女の口から直接、そんな言葉を聞いたことがあった。

「可愛い」
「可愛いのも美人なのもいるよ。たくさんいるから2匹ぐらい連れて帰るかい?」
「良いの?」
「パパさんとママさんが良いって言ったらね」
「聞いてくる」
「可愛がるんだよ」
「うん」

そんな会話を交わした事もあった。

当時の彼女は既に高齢だったが、とても優しくて、どこか少女めいた雰囲気があった。
オレが行く日には必ずジュースやお菓子を買っておいてくれた。ハンバーグやカレーなど、普段自分達は食べないものまで作ってくれた。当時のオレの年齢に合った麦わら帽子や玩具までプレゼントしてくれた。

あの優しさは、彼女の心が穏やかであったから持てたのかもしれない。
そして可愛らしいと思えた雰囲気は、たくさんの猫達との賑やかな交流が、彼女の内面をいつまでも老いらせなかったから持てたのかもしれない。

==========

「──だから、猫は人間を幸せにしてくれるし、人間も猫を幸せに出来るんだ」

オレは奴に希望を持ってその話をした。
どんなに『無理かもしれない』と思っても、猫好きなら猫を幸せに出来ると。

奴は納得してくれた。
彼と彼女の話に少し目を赤くしながら、「判った。根気強く頑張る」と力強く言った。

何事も諦めたら終わりだからな。
諦めずに行動していればどこかで幸運が拾える。たとえ当初の希望とは違った形になっても何かしら救いの手段を得られる。

オレはそれを信じて疑わないのだが、それは唯一オレという人間の『大正解』であると、これもまた信じて疑っていない。

まあ度々弱気になる事はあって、奴に慰められリ励まさたりもするのだが。
まだまだひよっこな人間だから弱気になるのは仕方がない。けれどそれで諦めてしまうのは、余程のことがない限り今度もないだろう。どんなに時間が掛かりそうなことであっても。

「猫が家にいると穏やかな雰囲気になるよね。眠ってばかりでも温もりを感じたり、安心感があったり」
「この部屋も、急に猫がいなくなったら途端に寂しくなるぞ」
「ずっと猫を大切にしよう。オレ達よりも長生きしてくれるように」
「そうだな」

実際には、猫様がオレ達よりも長生きするのは無理だ。
だがそこまで長生きしてくれるぐらい猫様には心地よく過ごして欲しい。

猫様が先に天国に行ったら奴は何日も泣くだろう。
オレは猫様の代りにはなれないが、奴を幸せにすると決めたのだから、また心の底から幸せだと思える日々を取り戻してくれるまで何日でも何年でも励ますぞ。

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長くなって申し訳ない。
明日の更新からまた日常のエロスや料理や雑談をします。

三毛猫一家を無事に保護できることを祈りつつ!

皆さんの毎日も幸運でありますように。
皆さんの大切な人達も幸せでありますように。

今宵のミラクルムーンに願いを掛けて。

おやすみ。

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