仔猫を探しています
Sun.02.11.2014 Posted in 恋愛
今日も仕事だったオレの為に、奴は美味しいドリアを作ってくれた。
秋が深まって肌寒さを感じるようになった夜に食べるドリアはとても美味しかった。

「どう?」
「身体が暖まる。幸せを感じるぞ」
「良かった。ワインも開けようか? 明日はお前も休みだし」
「ああ、オレが持ってくる」
「今日は室温のワインが飲みたくて冷やしてなかったけど、それで良い?」
「最高だ」

明日はオレも奴も休日だから、今夜は何に焦ることもなくゆっくりと過ごした。
ワインを飲みながらドライフルーツを摘み、音楽を聴きながら話をして、ゲームをしながら身体を寄せて。

外は雨だった。
こんな夜にもこの部屋の中は温かいことに喜びを感じながら、オレ達は雨音をも楽しんでいた。

しかし、ふと気づけば外から、何かの鳴き声が聞こえてきた。

それはとても大きな鳴き声だった。
オレは初め、それは赤ちゃんの鳴き声かと思った。近所に住む赤ちゃんに何かがあってそんな尋常でない声を張り上げているのかと。

だが奴は「猫だ」と言った。
すると、それまで奴の寝室で眠っていた猫様がやって来て、玄関の方を向いてそちらをじっと見詰めた。

「様子を見てくる」
「オレも行く」
「オレ一人で大丈夫だ。猫(猫様)があの鳴き声を気にしているから、オレがドアを開いた途端に外に飛び出さないように抱っこしていて」

奴は念の為に猫飯(オレは猫のご飯をそう呼んでいる)を持って行った。

オレは猫様を抱いて留守番をした。
雨に濡れたタイルは滑りやすいので奴の身を案じながら。そして鳴き声を上げている猫が無事であるように祈りながら。

2分ぐらいで奴は戻ってきた。
手にした猫飯は封を切られることもなくそのままだった。

「どうだった?」
「やぱり猫だった。しかも生まれて一ヶ月ぐらいの仔猫だ。階段の隅にしがみつくように座って大声で鳴いていた」
「で、その猫は?」
「親猫とはぐれたのかもしれない。お腹を空かしているかもしれないからご飯をあげようとしたんだけど、オレがしゃがんだら怖がって逃げてしまった」

奴はとても心配そうな顔をしていた。
無理もない。仔猫はまだか弱いのだから。

今度は2人でそっと外に出たが、もう仔猫の姿も鳴き声もなくなっていた。

聞けばとても可愛い茶トラの猫だったそうだ。
少し長めのふかふかの毛並みで、まだ片手に乗せられるぐらいの大きさで、キョロっとした大きな目をしていたと。

奇遇な事だが、実はオレは2日前に「茶トラも可愛いな、いつか飼いたいぜ」等と友人と話していた。
だから何やら運命的なものを感じた。もっとも二度とその仔猫と会えなかったら、ただの思い込みで終わってしまうのだが。

「また会えたら良いな」
「心配だから会いたいね。明日、探してみようかな」
「親とはぐれていたら保護するか?」
「する。保護できたら暫くオレ達が面倒を見よう。大家さんには事情を言って」
「ああ、大家さんは猫好きっぽいから大丈夫だろう。で、前みたいに里親を探すか?」
「そうだね。本当は飼いたいけど」

飼いたいな。
と、オレも心の中で思った。
オレは姿を見ていないが、奴があれほど可愛いと言ったのだから間違いなく可愛い子に違いない。もっとも猫は『ぶーにゃん』でも可愛いのだが。

明日は奴と一緒に仔猫探しだ。

オレ達は窓辺のソファに座り、雨の降る暗い外を眺めながら話をした。
雨に濡れて鳴いていた仔猫をこの温かな部屋に招きたいと思いながら。

「オレが小学生の頃、妹が野良猫を餌付けしたんだ。オスの茶トラだったが、物凄く利口な子だった。トイレは必ず外でしたし、魚を置いたテーブルに上がろうともしなかった」
「良い子だね」
「だが、病気になって下痢が止まらなくなった。多分、回虫がいたんだろうな」
「そう……」
「それでも部屋の中では絶対にしなかった。出そうになると自分の尻を舐めて、全部舐めとってな。そんな事をしているなんてオレも妹もずっと気付かなかったが、気付いた時は可哀想で辛かった。それからまもなく死んでしまったが、最後まで一度も部屋を汚さなかった」
「悲しいね……」

奴は慰めるようにオレを抱き寄せたが、奴の方こそ少し涙声になっていた。

当時は家庭環境が滅茶苦茶だったし、経済的な余裕もなかった。今なら良い病院に連れて行って完治させられたのに。……そんな事を考えながらオレは奴の手を握った。

明日は仔猫用のご飯を用意しよう。
どうやら人間を恐れている子のようだから、保護できなくてもせめて空腹を満たしてやりたい。

今頃、親猫に抱っこされて安心して眠っていれば良いんだが……。
仔猫は弱いし、狙われるし、とても心配だが、とにかく明日だ。

==========

という訳で、
これから寒さが増してゆくが、皆さんも温かくしてお過ごし下さい。
かなり酷い風邪をひいている人も少なからず見かけるので十分にご注意を。

本日もこのブログにお付き合い下さった事に感謝いたします。
この連休中、ずっと皆さんが幸運であるように祈っています。

おやすみ。

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