電話よりもオレを選んだ瞬間
Sat.16.08.2014 Posted in 恋愛
イタリアンレストランでコース料理を食べて帰ってきた夜の事。

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テーブルの上には奴のトートバッグが置いてあり、その上には黄色いアヒルが乗っていた。
見たことのないアヒルだったのでオレは奴に訊いた。「買ったのか?」と。すると奴はこう答えた。「◯◯町の雑貨屋で一個50円で売られていたんだ」

50円なら10匹ぐらいまとめて買ってくれば良かったにと思った。10個のアヒルを浮かべて風呂に入る奴の姿はきっと可愛かったから。

それを奴に伝えると、奴は照れた顔で笑った。「そうだね、ホテルに持って行って広いお風呂に浮かべてお前とアヒル釣りも出来る」等と言って。

だからオレは仕事の帰りに、奴がアヒルを買った雑貨屋に立ち寄る事にした。10個と言わずに残っているアヒルを全部買って来てしまおうと密かに決めて。

「猫も遊ぶかな?」
「紐で括ってぶら下げたら遊ぶかもな」
「ふふ、可愛いだろうな」
「嬉しいか?」
「うん、ありがとうね」

レストランで食事した夜は帰宅してもワインを飲みたくなる。
その日も例外ではなくグラスに注いだ赤ワインを飲みながらオレ達は語らっていた。

そしてそんな日は、いつもより官能的な気分になる。
オレ達はアヒル風呂の話をし始めた辺りから身体を寄せていた。笑いながらキスをして、抱擁して耳に愛撫をして。

「今夜のワインは蜂蜜漬けの林檎みたいな味だね」
「甘いが嫌いじゃないだろう?」
「好きだよ」
「オレも好きだ」

オレの手は奴の胸に触れ、その指先がうごめく度に奴は身体を震わせていた。笑顔で話す言葉に乱れる吐息を混じらせて。

もう間もなくソファに沈む筈だった。
しかしその寸前のところで奴の携帯が鳴った。22時近かったので無視すれば良いものを……とオレは思ったが、友人の思いの奴は律儀に『応答』をタップした。

電話の相手は親しい友人のようだった。
奴はオレの頭を撫でながら話をし始めた。『ゴメンね!』と手でジェスチャーを寄越して。

こんな時、オレはとても悪趣味な人間となる。
オレは許さなかった。
オレの大好きな静かにささやくような低い声を向けられている相手に嫉妬を覚えて奴を独占してやりたくなった。

オレはさっきの続きをした。
猫が強引に懐に入ってくるように奴のシャツをめくり上げて胸の突起物に唇をくっつけた。そして尖らせた舌先でそれを押しつぶすように舐め回した。

『こら!』

奴は声には出さずに表情でそう言った。
だがオレは止めなかった。奴の下半身にも手を伸ばして無言の抗議をより激しくさせた。

奴の言葉数は減った。
迂闊に口を開ければ電話口で喘ぎ声を出してしまうかもしれなかったからだ。それに会話に集中出来なくなってしまったから。
清廉潔白な愛なんてこの世にはない、ザマミロ! と、オレはそんな気持ちで奴のズボンのファスナーを降ろした。今度はそれを口に咥えて達するまで離さないつもりで。

実際のところ、やろうと思えば電話をしながらでも仕事をしながらでもセックスは出来る。
「どうしても声が漏れちゃう!」なんてエロ小説やエロ漫画だけの話で、冷静さを失わない限り喘ぎ声を隠すなんて簡単なのだから。ピークが来るまで咥えさせておいて射精の衝動が来たら電話を切って本腰を入れたら良い。

だが奴はそうはしなかった。
電話での会話を疎かにして、オレの愛撫にいちいち反応していた。
それは、『こら!』などと訴えながらも、その状況に誘惑されて楽しんでいたからに他ならない。

なかなか動かない口。曖昧な返答。
奴はオレの髪を握ってビクビクと腰を蠢かせていた。

オレはそんな奴の反応を楽しみながら更に責め立てた。口ばかりでなく手も使って奴の泣き所を扱き、今にも訪れそうなフィニッシュを口の中で受け止めようとした。

その時、奴は早口で「ごめん、猫が緊急事態だから切るね!」と言った。
そして携帯を放り投げ、荒々しく両手でオレの髪を掴み、「ああ! ああ!」と大きく喘いだ。

その豹変にオレは驚かされた。
だが、とても嬉しかった。

奴は電話よりもオレとのセックスを選んだ。
そう選択した瞬間、静かな声は淫らな喘ぎへと変わった。スイッチを切り替える前の出来事(電話)など、もはや奴の頭には一片も残っていないかのようだった。

オレは奴のそれから口を離した。
愛していると伝える為にキスをして、それから身体を深く繋げる為に奴に覆い被さった。

セックスに刺激を求めるなら、たまには多少の障害があった方が良いのだろう。
拘束されながらのもどかしいセックスも、相手を奪う事に躍起となり、荒くれたケダモノとなって激しく燃えられるのだから。

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その2日後。
オレは奴に場所を教えてもらって雑貨屋へ行った。

するとそこはシャッターが下りていて閉店の紙が貼られていた。
アヒルが50円と安かったのは閉店投げ売りセールだったからのようだ。

「OMG! あの時もっと買っておけば良かった!」
「失敗したな」
「50円の玩具を一個だけ買うのって恥ずかしかったし……」
「安くて気に入ったものは大人買いするように!」
「今度からそうする!」

倹約家の奴が珍しく浪費に賛成した出来事だった。
もっともアヒルがもっと高かったら「一個で良いよ」と言っただろうけどな(汗)

仕方がないので風呂に浮かべた一個のアヒルを奪い合うゲームでもするか。セクハラ攻撃歓迎というルールを設けてな。

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という訳で、お盆の連休中だがいかがお過ごしだろうか?

オレはほとんど仕事だが、それでもそれなりに楽しく過ごしている。
お盆後と秋には連休があるので、それを楽しみに今は頑張る事にした。奴と休日が擦れ違ってしまうのは寂しいけどな。もっとも有給を利用してもらって一緒に遊ぶつもりだが。

貴重な休日にもこのブログに訪れて下さってありがとうございます。
感謝を込めて、お盆休みは残すところ2日となるが、この週末はとびきり幸運な日となるように祈っています。

では、今夜も心安らかに楽しい夢を。
おやすみ。

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