カレーの王子様はチョコレートドーナツを買う
Thu.31.07.2014 Posted in 恋愛
一週間ぶりの夜に、ごきげんよう。

ずっと多忙が続いていたが、一昨日と昨日はその反動のように遊び回った。

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まずは一昨日、仕事の後に奴と待ち合わせて銀座に行った。
そして老舗の寿司屋で最高の料理(寿司の他に蟹やツボ焼きなど)を堪能した後に翌日の予定を立てた。

「お疲れ様! 明日は朝から夜まで遊ぼうね!」
「ありがとう。休みなしで頑張れたのは貴方のお陰だ」
「ふふふ、オレは何もしなかったよ。明日からの2日間はお前の好きな事をして」

奴は謙遜してそう言ったが確実にオレを支えてくれた。
食事を作ってくれたし、目覚ましが鳴っても起きないオレを起こしてくれたし、シュークリームを買ってきてくれたし、寝付けない夜にマッサージをしてくれた。

どれも有難かった。
しかし一つ、オレは奴の好意を無駄にしてしまった。

「カレーが食べたい」と言ったオレに応えて奴はカレーを作ってくれたのだが、不運にもその夜は帰宅できなくなってしまった。しかもその翌日も帰宅が0時を超えた為に外で食べてしまった。

3日目に、「カレーはまだあるか?」と訊いたが、「食べちゃった」という答えが返ってきた。
ガッカリしたと共にとても申し訳なくなった。何せオレは、帰宅できなかったり帰宅が遅くなっただけではなく、奴がカレーを作ってくれた事を忘れてしまっていたのだから。

だからこの2日間の連休は奴に楽しんで貰う事にした。
一昨日は奴が「午前中だけ外国の友人を浅草に案内してくる」と言っていたのでオレも同行を決めた。そして奴とご友人に浅草名物を振る舞う約束をした。

「カレー、ごめんな」
浅草へ向かう前、車の中でオレはポツリと言った。

奴は笑った。
「また作るよ」と言って。

車を発進させる前にオレは奴を抱き締めた。「今日は楽しい日にするぞ」と、嬉しい気持ちを込めて言って。

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浅草の『今半』で二重丼(ステーキ丼とすき焼き丼のセット丼)を食べて、かっぱ橋を散歩して、浅草寺で参拝して、仲見世通りで土産物を買って、甘味屋でデザートを食べた。

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極めて定番的な観光案内となったが奴のご友人は喜んでくれた。難しい質問をされた時にはオレの知識不足(そして英語力不足)で答えられなかったが……。

ところで奴は浅草にはもう何度も来ているが、今回はちょっと面白いハプニングがあった。

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浅草寺の休憩所の近くには井戸があるのだが、奴がポンプを漕いで水を出していたら、それを見た外国人のファミリーが「おお! 水が出るんですか!」と寄って来た。

もともと世話好きな奴は大喜びだった。
小学生ぐらいの2人のお子さんにポンプの漕ぎ方を教えて、その様子をお父さんが写真に撮っていた。

あの親子は国に帰った後にその写真を見て「優しいお兄さんだったな」とか思い出すのだろうか?(笑)
そんな想像をすれば微笑ましくなってオレも撮影せずにはいられなくなった。奴が子供達とニコニコしている良い写真が撮れて、その好奇心いっぱいの親子に感謝した。

それから仲見世通りで買い物をしている時、オレは前々から『いつか奴にプレゼントしよう!』と思っていたものが売られている店に立ち寄った。

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黒猫の美しい扇子だ。
雷門を入ってすぐ右手にある黒田屋のオリジナル品。

暑がりの奴には去年も黒猫の扇子をプレゼントしたが、今年も黒猫の扇子を買ったので、これからは夏の恒例行事するのも悪くない。

奴はとても喜んでくれた。
「似合う? ステキ? 可愛いよね!」とハイテンションで、まるで女装している時の乙女な奴そのままで……ご友人の前でそんなに大はしゃぎしても良いのかとちょっと心配になった(笑)

……後から聞いたが、奴はご友人達に対してカムアウトはしていないが、特にそうした言動を隠すつもりもないそうだ。もしも自然に気付かれて質問されたら「そうだよ」と答えるつもりだと。オレも本当はそうしたいんだがな。

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場所を上野に移して、アメ横や上野公園を回って、そこでご友人達と別れた。

そこから先は2人のデートだった。
しかし時間が迫っていたので大急ぎで渋谷に移動した。

渋谷に来たのは映画『チョコレートドーナツ』を観る為だった。
予告などでとても悲しい話であることは判っていたが、予想していたよりもずっと辛い内容だった。

映画を見終わった後、ダウン症の少年マルコの笑顔や泣き声を思い出すだけで、もうそれ以上は悲しすぎて何も考えられなくなった。
悔しさや怒りも感じていた筈なのに、それらが霞むほど悲しくなった。

オレも酷くやるせない気持ちとなったが、奴はそれ以上だった。
「どんな障害を持っていてもどんな環境で育ったとしても、優しい愛情に包まれればあんなに嬉しそうに笑って、周囲の人々を幸せにしてくれる天使になれるのに」と、そんな事を言って涙した。

夕食は静かなレストランで食べる予定だった。
だが何でも言えるように(泣くことも出来るように)、騒がしいレストランに変更した。

「賑やかなお店にして正解だった」と奴は言った。騒音が心の中に入ってきて少しは元気になれるから、と。

イタリアンやリゾート料理を平らげた後、その店名物の大きなデザートを注文した。

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「ハニトーだ。蜂蜜と生クリームとアイスクリームがたっぷりで美味いぞ」
「凄い! パン丸ごと一斤に甘いものがこんなに乗ってるなんて2人じゃ食べきれないよ!」
「ダメだ、残すな!」
「料理をもっと少なくすれば良かった!」

騒音に近い大賑わいの店内でオレ達は大声で話したり笑ったり(映画のとある2人や社会に対して)怒ったりした。

奴はすっかり元気になった。
だが、会計が済んで外に出たらまた涙声となった。「映画が終わってもう2時間以上経つのにまだ泣けるなんて」と囁いて。

それはオレも同じだった。
スクリーンで見た悲しみや喜びはちょっと時間が過ぎれば呆気無く消えるものだが『チョコレートドーナツ』は違っていた。食事の後も、今日も、マルコの姿を思い出せば途端に悲しみが込み上げる。

オレは奴の肩を抱いて歩いた。
渋谷は夜でも相変わらず人が多かったが、誰に好奇の目で見られても構わなかった。

車の中に戻って奴の頬にキスをした。
奴はきっと自分の過去をも思い出していただろうので優しくしたかった。
家に帰るまでの距離が長く思えてホテルに行った。
奴が寝付くまでずっと抱き締めて。今日あった数々の出来事──悲しい事と楽しい事の両方を静かに語り合った。

「でも楽しかったよ」
「そうだな」
「楽しいというか、悲しい気持ちを思い出したりもしたけど、それでも幸せだった。今のオレは幸せだから」
「ああ、実はオレもそんな事を感じていた」
「あはは……。そうだ、明日の帰りにお前にお土産を買って帰るよ」
「仕事の帰りに?」
「お前は明日も休みでしょ? だからね。チョコレートドーナツを。2つ買うから一緒に食べよう」

楽しみにしている。
オレは心の底からそう思った。
そして今の自分がどれほど恵まれているのかを噛み締めた。今は幸せだと言って傍に居てくれる可愛い人が居るのだから。

これでカレーの償いは出来ただろうか?
チラリとそんな考えが浮かんだが、幸せを噛み締めた日にそんなセコい感情を持ち込むのは嫌で頭から消した。

とても満たされた休日だった。
だから、本当は今日の更新では先日の連載の続きを書くつもりだったが、久しぶりの休日がこんなにも幸せで良かったという気持ちが鮮明に残っているうちに書いてしまいたかったので、勝手ながら変更した事をお詫び致します。

次回の更新では続きを書かせて頂きます。

それからこの数日の間に数名の読者様からご質問を頂いたのですが、過去語りの続きもそろそろ再開いたします。
今後はテンポ良く書きます! 書く書く詐欺をやらかす前に約束が守れるように(笑)

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長い話を読んで下さってありがとうございました。

明日も皆さんが幸せでありますように。
感謝を込めて祈らせて頂きます。

おやすみ。

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