偽りのキスの約束
Sun.06.07.2014 Posted in 恋愛
一週間ほど前の夜、オレはオフィスに泊まって仕事をした。

オレの部署のほとんどの人間がいなくなる時刻は(その日の場合は)22時過ぎだった。
彼等は「お疲れ様」の挨拶と共に帰っていった。しかしそれよりも少し遅い時間に、逆に「お疲れ様」の挨拶と共にやって来た人物がいた。

その人物の名前は、Y(笑)

彼は静まり返った部屋の中をそっと覗いて、オレだけがいるのを確認してから入ってきた。その姿はまるで、飼われたばかりの猫が警戒しながらもご飯欲しさにそろそろとやって来る様子に似ていた。

「ようこそ、猫ちゃん」
「部下を猫ちゃんって呼ぶなんて」
「オヤツを用意して待っていたぞ」
「オヤツって本当に? あ、入っても大丈夫?」
「ああ、貴方は用事があってここに来た事にすれば良いだろう? ほらオヤツ」

オレはデスクの引き出しから珈琲キャンディを出して奴に渡した。
奴はそれを受け取ってさっそく口の中に放り込んだ。「餌付け?」と言って。

窓の向こうは真っ暗だった。
そして室内は静かだった。
少しずつオレは可笑しな心地になっていった。
いつもとは違うオフィスの中、いつもはいない奴と二人きりだったから。

「誰かと会ったか?」
「ううん」
「じゃあここに貴方が来たことは誰も知らないんだな」
「そうだね。どうせなから何かする? 完全犯罪」
「はは、良いな。じゃあ重要な書類のある◯◯室に忍び込んで貰おうか」
「猫みたいに足音を立てないで入ってみせるよ」

オレの部署は目立つ位置にあるので場所を変える事にした。
夜は滅多に人の出入りのない物置に似た部屋へ。

そこでオレ達は暫く普通の会話をしていた。
だがオレは焦りを感じていた。
こんなにのんびりと話をしていたら誰かに見つかるんじゃないか? と。だから早く目的を果たすべきじゃないか? と。いや、それよりも本当は、早く奴に手を出したくて部屋を移った時から既に興奮を昂ぶらせていた。

不意に奴の腕を掴めば、奴は唇から言葉を失くした。
そして妖しい猫の目に笑みを浮かべ、身体を屈めて、椅子に座っているオレにキスをした。

オレは目を閉ざした。
静かな室内にキスの音が響いた。
濡れた唇を吸って舌を舐める音がとても生々しかった。

「キスだけだよ」
「ああ。ここにもキスだけだ」
「そこは……」
「キスだけなら良いんだろう?」
「キスだけど……そこは、誰かが来たら誤魔化せなくなるよ」
「見せ付けてやろうか? オレ達がしているところ」
「ダメ……」

そんな最中、オレはデジャヴを感じていた。
もう何年前だろう? あの時もオレ達は給湯室で同じ事をしていた。奴の方からキスをして、オレがもっと貪欲なキスをしたがって、奴が身体を反応させながらもオレの行為を拒もうとしていた。

その記憶はますますオレを欲情させた。今感じている興奮に、当時の興奮が上塗りされて。
オレは久々に沸き起こる激しい性欲に揺さぶられながら、椅子から立ち上がり、部屋の照明を消して、唐突に奴を壁に押さえ付けた。

「本気?」
「こうすれば誰かが来てもすぐにはバレない」

奴の身体がぎこちなくなっているのが可愛かった。
出来れば本当に、意地悪な悪戯だったと誤魔化したりせずに、本当にそのまま奴の身体中をキスで愛撫してしまいたかった。奴の初々しく鼓動をドキドキと鳴らしている身体が(そしてそこから発している汗ばんだ匂いが)、この上なくオレを興奮させていたから。

「だが見回りが来たら懐中電灯を当てられるか」
「……あ、あはは、そうだね。万が一の事を考えたらこれ以上は怖いよ」
「残念だ」
「酷いね」
「見回りが?」
「違うよ。本当にするのかと思って、本気にしちゃったじゃない」

奴のその一言のせいでオレ達の立場は逆転した。
奴はオレの頬をつねって身体を離そうとして、オレは奴に未練を感じて離れられなくなった。さっきまではオレの方が主導権を握っていた筈なのに。

万が一を考えれば怖い。だがそれ以上に快楽を満たしたい誘惑は大きかった。

照明を点けようと思ったが止めた。
あと5分なら大丈夫だと確信した。
何の根拠もない確信だったが、ここで誘惑に負けてしまわなければ奴につまらない男だと思われるような気がした。

オレはルールを破った。
「気をつけて帰るんだぞ」と奴を解放して別れのキスをするフリをして、再び奴を壁に押さえ付けた。

そして、驚いている奴に構わず声を塞ぐような強引なキスをして、奴の下半身に手を伸ばした。そこを撫でまわして、ファスナーを開いて、その中に手を忍び込ませて。

「……約束と違う。キスだけだって」
「しっ、声が大きいぞ」
「ん……」
「凄く感じてるんだな。こんなに硬くなって濡れてる」

奴はもう何の抵抗のセリフも言わなかった。
声を押し殺す為にオレに抱き着いてオレの胸に顔を押しつけていた。

無我夢中の刺激的な一時だった。
おそらく5分にも満たないほんの数分間だったが、奴ははあはあと息を荒げながらオレの手の中に熱い液を放出させた。

当然だが、それ以上の行為に及ぶ度胸はなくて、オレはお預けだった(苦笑)
だが十分だった。奴が物凄く感じていたのを思い出しながら後で自慰をすれば良い事だった。

「服に掛からなかったか?」
「大丈夫、お前が手で止めたから」
「気が利くだろう?」
「もう、約束を破ったお仕置きだ」

奴はそう言って勃起状態のオレのアレを膝でグリグリとえぐった。
どうせなら後3分間の気持ちの余裕(大丈夫だという根拠のない確信)が欲しかった。そうすればオレは奴の膝でイく事が出来たのだから。

奴のもう一つの目的(夜食のサンドイッチ弁当)を受け取って、今度こそ本当にお別れのキスをした。

奴はさっきよりも楽しそうだった。
ああ、本当は判っていた。「差し入れのついでにキスをしに行くよ」などと奴は言っていたが、本当はオレと同じようにサンドイッチよりもオフィスメイクラブが目的だったのを(笑)

しかし、やはりこういう行為はエスカレートするものだ。
あの危険を含んだ刺激が、今や少々マンネリを否めなくなったオレ達には新鮮な刺激となって中毒化してしまったのか、もっとオフィスでインモラルな行為が出来たら……と、先日はそんな妄想を2人で語りながらセックスをした。

いつも仕事をしているディスクで、客人をもてなすソファで、奴を激しく背後から突き上げて鳴かせたくなってしまった。

「良いね、お前はスーツだよね。ネクタイをきちんと締めたままするんだ」
「良いぞ。じゃあ貴方も……いや、全裸に猫耳をよろしく」
「なんでオフィスなのに全裸で猫耳なの!?」
「オレの趣味」
「猫耳をしてお前にされている姿を誰かに見られたら、もうオレは行きていけないよ」

さて、オレのこのささやかな(?)願いはいつか叶うだろうか?
明日は七夕。まだ短冊を書かせてくれるところがあったら、この願いを真摯に書いてみようか。

そしていい加減に夜更かし癖が治るように願ってこよう(汗)
明日もまた奴に叱られるな。出勤の前に奴に尻を叩かれるのは最高の見送りだがな。

==========

という訳で、
昨日のエントリーで『どれから書こうかな♪』等と書いたら、『ライチのを!』というリクエストを4通も頂いて驚きを隠せません(笑)

さすがこのブログをご贔屓にして下さっている方々です。普通のエロよりも変態エロを望んで下さるなんて嬉しくなりました。

次回はそれを書かせて頂きます。
ただ、それほど皆さんに楽しんで頂けるどうか、ちょっと自信はありません(汗)

さて今日は日曜日だ。
楽しい休日をお過ごし下さい。日頃の疲れを癒して、ストレスを吹き飛ばして。楽しい事に満ちた一日となるように祈っています。

では、今夜も心安からに幸せな夢を。
おやすみ。

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