お見舞いに来た白猫
Mon.14.04.2014 Posted in 恋愛
数日ぶりの深夜に、ごきげんよう。

今年の春は目まぐるしい。
桜が咲いて散ったのも早かったが、オレ達の生活も慌ただしくて落ち着かなかった。もっとも、仕事の環境が大きく変わったのだから仕方がない。

しかし体調まで安定していないのは困ったもんだった。
先日は奴が下腹部痛を起こして、その後はオレが眼精疲労と胃炎になった。お互いにストレスを抱えての発病なので厄介だった。

「お腹が痛いよ」
「病院に行こう」
「ううん、動きたくない。こうして横になっていたい。我慢できない痛みではないから」
「疲れた上に冷えたんだろうな。良し、胃腸に良いツボを押してやる」
「効く? あ、いたたたたた!!」
「軽く押してそれほど痛いって事はやっぱり腸が原因だな」

奴をリラックスさせる為にやったツボ押しだったが、意外にもかなり効果があって(指圧師さんに教えてもらったツボなので効果は確実なのだがオレは素人なので)、奴は暫く痛がった後に「痛みがなくなってきた!」と驚いた。

「ツボの痛みの方が強くてお腹の痛みを忘れたんじゃないか?」
「あはは、そうかも」

しかし所詮は素人の付け焼き刃。
奴は完全に良くなる筈もなく、その翌日は仕事を休んで安静に自宅で過ごしていた。

その日はオレも有給だったので『奴が元気ならインパしたのにな』等と思ったが、オレもそれなりに疲労が溜まっていたので、静かに奴の看病をするのも悪くなかった。

「買い物に行ってくる。何が食べたい?」
「テリーヌ。でも刺激のないものの方が良いよね」
「ああ、テリーヌは治ったら作ってやる」
「本当に? 作れるの?」
「レシピを見れば何とかなるさ。じゃあ今日はチキンのリゾットでも作るか。良いか?」
「ありがとう。嬉しいよ」

オレは、ベッドに身体を横にしながらニコニコと笑っている奴の髪を撫でた。いつも元気な(オレよりも健康で体力のある)猫ちゃんがそうしている姿は少なからずオレの胸を締め付けた。

心配だった。
痛がっている奴の姿に物凄く心配になった。

病院に行った方が治りは早い筈だが、奴は病院が好きじゃない。
ならばオレが看病して治してやるしかなかった。
消化の良い食事を作って、ビオフェルミンを飲ませて、腹を撫でて、ツボを押して。

幸運にもその甲斐があって、夜には奴の腹痛はほぼなくなっていた。
だが疲労の為に半端な時間に眠ったり起きたりしたので頭をボーっとさせていた(熱はまったくなかった)

夕方に眠って夜に起きて来た時、奴はリビングを照らす照明を眩しがるように目を細めた。
そして言った。突然、「シロ子?」と。

「え?」
「どうしてシロ子がここにいるの?」
「え? シロ子って?」
「そこに。あ……あれ、違った。そのスーパーのビニール袋がシロ子に見えた。縛っているところが耳に見えて。あははは!」

奴はオレの隣に置いてあったゴミをまとめたビニール袋の前にしゃがみこんで、自分の勘違いに笑い出した。

「ああ、シロ子だぞ。貴方を心配して実家から駆けつけて来たんだ」

オレも笑いながら奴にビニール袋を突き出した。猫耳に見える縛った部分を撫でながら「にゃあにゃあシロ子だぞ、元気になったか?」とか言って。

「寝過ぎた。頭がボケて本当にシロちゃんに見えたよ」
「面白かった。動画に撮って友達と祖母さんに送ってやりたかったぜ」
「やめて! 今のはオレとお前だけの秘密!」

オレはゴミ袋猫を抱えている奴を撫でながら暫く笑った。
それまで静かな休日だったが、奴の笑い声ですっかり明るい休日に変わっていた。

それから簡単な晩御飯を食べて(オレも奴に付き合って残りのリゾットを食べた。オレだけクリームチーズを足して)、食後のお茶を淹れる事にした。
腹痛が治ったばかりの奴に紅茶や珈琲は毒となるのでカモミールを淹れることにした。甘さを控えた小さなメレンゲ菓子を添えて。

しかしカモミールティーを淹れる直前に、オレはちょっとした事を思い付いて奴に留守番を頼んだ。「販売機で水を買ってくるからちょっとだけ待ってくれ」と言って。

本当は水を買う為の外出ではなかった。
せっかくの休日だったのだから(体調不良での病欠だが)、もう少しだけ奴に楽しい思いをして欲しくて。

「そこの桜、今が一番きれいだぞ」

そう言って奴に出したティーカップに桜の花を乗せた。ついでに、奴の髪にも桜を飾ってやった。さっきの外出の時にこっそりと拝借したものだった。

奴はティーカップの桜を取って、猫の様にくんくんと匂いを嗅いだ。
そして「良い匂い。今夜はお花見だね」と言って嬉しそうに笑った。

オレはすっかり満足した。
花泥棒をして良かった……と思ってはいけないのだろうが、樹齢のある大きな桜を今年も見事に咲かせてくれた主に感謝した。「後日、奴と一緒に見に行きます」と心の中で呟いて。

「今年はゆっくり花見も出来なかったな」
「今してるじゃない」
「まあ、そうだが……。だが散ってしまう前に見に行こうぜ」
「そうだね。今年もワインを飲みながら見たいな」
「そうしよう」

どんなに忙しくても、どんなに体調が悪くても、春の桜のオレ達に艶やかで雅な気持ちを思い出させてくれる。
そして奴はオレを和ませ、そしてたまに天然ぶりを発揮して笑わせてくれる(笑)

なんだかんだで良い春を過ごしているのかもな。
困難なストレスにまみれる最中にも、ふとした時に、それでも自分が幸運である事を思い知らされる。

桜は散ってしまったが、あと少し頑張ればゴールデンウィークだ。

皆さんも多忙な春をお過ごしだったと思う。
お疲れ様です。
消費税アップの大混乱に巻き込まれて夜も眠れなかった方もおられるかと思う(泣)

心地の良い陽気に誘惑されたいのにそれが許されない葛藤に堪えながら、オレと一緒にマゾヒスティックな春を満喫しましょう(笑)
ゴールデンウィークを目指して、たまに気を緩ませて適度にサボったり快楽に溺れたりしながら。

という訳で、
それなりに状況は落ち着いて来たので今後もよろしくお願い致します。

休止中にネタはかなり溜まったが、やはりタイムリーなタイミングを逃すとそのネタは書けなくなるものだな。勿体無い事をした。
それでもまあ、ボチボチと。明日には明日のネタがあるしな。

こんな時間なので多くの方は既に眠っているだろうが、どうぞ今夜も良い夢を。
眠りが浅いと現実に近い夢を見るもので、近頃のオレは……という話はまた後日に。

明日も皆さんが幸運でありますように。
おやすみ。

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