ミステイクにサンクス
Tue.14.01.2014 Posted in 恋愛
正月休みに奴の友人の家にお邪魔した。
彼はオレよりも3歳年上で、国に奥さんと子供を残して日本に来ているアメリカ人だった。

とても気さくで親切な人だった。
容姿も良くて、品性や知性も感じさせる人だった。

おまけにステキなマンションに住んでいた。
きっと家賃は会社が負担しているのだろうが、まるでホテルのような造りで、エントランスにはダークスーツを着たフロントマンがいて、ロビーにはスタイリッシュな大型犬を連れたご婦人達がおしゃべりをしていた。

かつて、リッツカールトン東京の賃貸レジデンスに住んでいるお客さんを訪問した時も羨ましさを感じたが、今回はオレとそれほど変わらない年齢の人がそんな環境で暮らしているのを知って少々焦りを感じた。

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■写真はイメージです。

更に、彼は奴と仲良しだった。
奴と彼はほとんど無遠慮に接していた。
親しい友人ならばそれが当たり前なのだが、どうもオレは彼と自分を比較してしまい、それゆえに余計な嫉妬を感じてしまった。

奴は本当はオレよりも彼のタイプの方が好みなのではないかと……そんな馬鹿な想像まで浮かんだ。本当にちょっとだけだったが。
しかし彼の寝室に彼の奥さんや子供の写真が並んでいなかったらもう少し本気で嫉妬してしまったかもしれない。

「You don't feel cold?(寒くない?)」

その日は寒かった為、彼は何度かオレにそう訊いた。
親切なのは奴と同じだった。とても紳士的だった。

オレ達は彼にベリーパイを手土産に持って行ったのだが、彼はそのお礼にと、一番の得意料理だという羊肉のパエジャを作ってくれた。

「Fantastic!」
「Yummy!」

とオレ達が言うと、笑顔でレシピを語ってくれた。
それをオレがメモに書き留めようとすると、「I will email you later(後でメールします)」と言ってくれた。

「ステキな住まいだったな」
「あの広さは羨ましいね」
「オレも頑張って、いつかはああいうマンションに住むぞ」
「オレも頑張る。一緒に頑張って一緒に住もう。あんなに広かったら猫が3匹は飼えるよ」

帰り道の車の中でオレ達はそんな話をした。
確かにオレは彼に嫉妬心を抱いたが、結局は彼の感じの良さに親しみを覚え、友人になれた事を心から喜んだ。

それにオレは(一瞬、馬鹿な想像をしたが)奴を信じていたし、奴が言ったように2人で頑張れば理想的な住まいを手に入れるぐらいの自信は持っていた。

彼にまた会いたいと思った。
そしてその機会は早く巡ってきた。

昨日の朝、奴はオレにこう言った。
「彼に借りていたものを返したい。用事はそれだけだから、お前も一緒に来て」

オレは了解した。
「車で行こう。彼の都合が悪くないなら、そんなに急がなくても良いぞ?」

しかし奴は何も答えなかった。
その態度がちょっとおかしいとオレは思った。
そればかりか車で彼のマンションへ移動している時も奴は無口で、何やら不機嫌そうに考え事をしているように見えた。

「何かあったのか? 喧嘩か?」
「違うよ」
「じゃあ何だ? 何かあっただろう?」
「うん……」
「ああ」
「あのね」

奴はこう言った。

「実は年末、彼に想いを告げられた。
オレに惹かれているって、バーで飲んでいる時に。
もちろんオレは断った。大切が人がいるからって。
彼は判ってくれた。それで、オレの事は諦めるからお前と会ってみたいと言うから彼の招待に応じて2人で彼のマンションに行った。
だけどその晩、彼は電話でこう言った。オレとお前の仲を祝福するけどお前に嫉妬したって。オレを待っているって。
だからオレは彼と距離を置く事にした。彼に借りていたものも全て返して」

オレはあの時、彼に嫉妬したが、彼もまたオレに嫉妬していたとは驚きだった。
少々複雑な気分に駆られた。
オレは彼に好感を抱いていたのに彼はオレから奴を奪いたいと思っていた。
そして、彼には奥さんも子供もいるのに、それはなんの存在感もないかのように堂々と奴にアプローチした。

家族を大切にする奴にとって、後者の項目は彼を否定する要因になったのは想像に難くなかった。
そして、奴が不愉快そうな顔になった原因もそれであるとオレは感じた。

「良い人だと思ったんだが、残念だな」
「うん。ごめんね、借りたものを返してきてってお願いして」
「良いぞ。すぐに返して戻ってくる」

彼の部屋の呼び鈴を鳴らせば、彼はすぐにドアを開いてくれた。
オレは彼を見詰めた。
端正な顔、知性的で洗練された雰囲気、地位のある立場。
もしも彼に奥さんと子供がいなくても、奴はオレを選んでくれただろうか?

彼に奥さんと子供がいて命拾いした……と、オレは思った(苦笑)

そんな事を思うのは奴を信じていないから、と言われてしまいそうだが、自分よりも優れている人間が自分の恋人を狙っていると知ったら、そう思ってしまうのは仕方のない事だと思う。

テレビ俳優並みの金髪碧眼のイケメンで、紳士で、仕草や眼差しがセクシーで、贅沢な生活をしていて、家賃60万円以上の高級レジデンスに住んでいる男だ。

そんな男に熱烈に口説かれたら……と想像しただけでグラっと来ないか?
オレは来た。
いや、オレも浮気はしないが(汗)
そういう男に頼りたいというよりも、自分がそういう男になりたいという願望が強いので逆に悔しくなるかも。

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■和栗系とフルーツたっぷり系がブームです。

借り物を返した帰り道、オレ達は喫茶店に入った。

オレ達はもう彼の話はしなかった。
残りの休日はどう過ごすか?
今月のインパは何時に行ってどこのホテルに泊まるか?
そんな話に花を咲かせた。

こんな時、態度のはっきりとしている奴には安心させられる。
少々彼には申し訳ないが、奴の想いの全ては自分のものであって欲しいと願わずにはいられない。そしてそれをハッキリとした態度で示して欲しいとも。
無論、オレもそうするから。

しかし一つだけ、彼に関する事で心残りがある。
折角イケメン外人とメール交換できたのに……ではなく、折角とても美味しいパエジャのレシピを教えてもらった訳だが、こんな事になってしまったら、とてもじゃないが作れない。

仕方が無いので、美味しいパエジャは今年の抱負の一つにした。
彼からもらったレシピよりも美味しく作って、奴に喜んで貰おうと。

今年も自炊の習慣を取り戻す為に足掻くぞ。
今日も帰宅が遅いので無理だが、明日はきっと。

皆さんも、ご自分と大切な人が幸せになる願い事が次々と成就しますように。

成人式が終わってすっかり平常の日々が戻ったが、心浮かれる楽しい出来事はずっと続くように祈っています。

では、また時間のある時に。

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