オレと彼の喜びを持ち去った黒い車
Thu.14.05.2015 Posted in 恋愛
今月中盤の多忙を終えて、ごきげんよう。

仕事の後に飲んだ紅茶は格別に美味しかった。
その喫茶店にはボストン君の案内で初めて入ったが、じっくりと淹れた紅茶(アールグレイ)の渋みすらも最高のアクセントとなる類まれな美味しさだった。

「……美味しい!」

オレが乏しい知識を以って紅茶を絶賛するとボストン君は満足そうに笑った。その紅茶を淹れたカウンターの中の礼儀正しく上品そうな青年は知り合いだとかで、自慢気に。……一種のノロケだな(汗)

「この店は最近知ったのか?」
「ああ、紅茶にうるさい外国人の顧客に連れて来られた」
「なるほど。で、あのカウンターの子とはいつから知り合いだ?」
「連れて来られた時からだ。知り合いといっても、その顧客を通して会話をしたぐらいだぞ」

それにしては『お気に入り』であるような口ぶりだったがな? 大台を超えてもまだ現役なようで何よりだ。

もっとも、そんな事をオレが言ってもボストン君は「もう枯れている」と答えるばかりだ。確かに去年、欧州人の彼氏と別れてから特定の相手を作っていないようだが、そろそろ落ち着きたい年齢となってやっぱり日本人が良くなったか?

まあ、ボストン君のプライベートに首を突っ込むのはほどほどにしよう。
仕事絡みの付き合いが10年以上にもなると相手の生活上の変化が少し気になるものだ。しかし、彼が欧州人達に熱を上げているのにはほとんど無関心だったが、急に日本人に熱を上げると妙に気になるのは何でだろうな。

「ここはスコーンも良いぞ」
「へえ。テイクアウトはできるか?」
「Y(奴)に土産か?」
「ああ、ここで熱いのを食べるのが一番美味いんだろうが」
「ならスコーンと一緒にジャムも買って行くと良い。確か5種類ぐらいある」
「オススメは?」

ボストン君のオススメで……というか、彼は奴にスコーンとジャムをご馳走してくれた。「土産に持って帰れ」と言って、オレの紅茶代と共に支払ってくれた。

ちなみにジャムは、ジンジャーのジャムとマーマレードのジャム。
クロテッドクリームと一緒にスコーンに付けて食べるととても美味しいとの事で、オレも楽しみにしながら自宅へ持って帰った。

ボストン君と別れてタクシーで帰宅した。
昨日からの多忙のせいで重い眠気が襲ってきて危うく熟睡するところだった。

「ただいま」

オレが帰宅すると奴は猫様を抱っこして玄関まで出迎えてくれた。
奴の顔を見てオレは急に思い出した。それまで眠気で忘れていたが、奴にスコーンとジャムの土産がある事を。

"スコーンを温めて一緒に食べよう。"

オレはその言葉と共に奴に紙包みを渡そうとした。
しかしそれが見当たらなくてギョッとした。確かにボストン君から渡された筈の紙包みが、オレの手にもカバンの中にもなかった。

サッと血の気が引いた。
間違いない。オレはタクシーの中に忘れてきてしまったのだ。

「ああ……やっちまった」

オレはそう呟いてその場にしゃがみ込んだ。

「どうしたの?」

奴はオレを心配して同じようにしゃがみ込んだ。

「……貴方にな、土産があったんだ」
「え」
「ボストン君と美味しい紅茶の店で仕事の打ち合わせをして、彼が貴方への土産にって、スコーンとジャムを買ってくれたんだ」
「わあ!」
「だが、すまない。オレはそれをタクシーに忘れてきた」
「ええー!」

ごめん、疲れていて眠くて……。とオレが顔を伏せて呟くと、奴は同情してくれて「良いよ! それよりタクシーの会社は覚えている? そうだ、領収書を見れば!」と言ったが、こんな時に限ってオレは面倒臭くて領収書を受け取っていなかった(泣)

「残念だったね……」
「貴方への土産だったのに。すまない。ボストン君にも謝らないと」
「彼には謝った方が良いね! オレは気にしてないからね。でもスコーン……凄く食べたくなっちゃった。食べられないと思ったら……」

奴の気持ちは物凄く良く理解できた。
食べたい! と思ったものが食べられないと無性に食べたくなるものだ。

オレは奴に、近々その喫茶店でご馳走すると約束した。
しかし実はその店の名前や場所を明確に覚えていないのでボストン君に訊かなくてはならない。だが、「買ってもらったジャムをタクシーに忘れました」とかボケた事を抜かすオレに、あの意地悪い人がちゃんと教えてくれるのか不安だ(汗)

「眠いとロクな事にならんな」
「そりゃそうだよ。今週末はしっかり休もうね」

ソファに顔を突っ伏したオレの頭を奴が撫でた。

そうしよう。
今週は金曜日は夕方前に仕事が終わって、土曜日は完全に休日だ。
週末まであと少し。奴の励ましを支えに頑張ろう。

==========

という訳で、
皆さんも忘れ物にはお気をつけ下さい。

オレは○ザエさんのように財布を忘れて愉快でいられるようなポジティブ人間にはなれない。奴が「それでも喜べ、お前はマゾだろう!」と鞭でしばいてくれるならできそうだが。

来月頃からは梅雨に入る。
傘の忘れ物が多発する季節だが、オレは何本の傘を失くすか楽しみ……ではなく、スーツの袖に縫い付けてでも一本たりとも忘れないように努力しよう。

まあ、取り敢えず、財布と携帯と免許書だけは忘れないようにしたいな。
明日の木曜日、皆さんが忘れ物をして困ったりしなういように応援いたします。

では、今夜も心安らかに楽しい夢を。
おやすみ。

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