雨降る夜のホラーディナー
Sat.24.01.2015 Posted in 恋愛
昨夜は奴と待ち合わせてレストランで食事をした。

フレンチ風のフルコースで、初めて利用したレストランだったが味は申し分なかった。
一番最初に運ばれてきたカリフラワーのムースから、オードブル、スープ、魚、肉、デザートのマロンプリンまで、奴は「美味しい!」と嬉しそうに食べてくれてオレも大満足だった。

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■オードブルの盛り合わせ

しかし、その微笑ましい光景は、『オレのとある発言』から雲行きを怪しくさせて行った。

別に大したことを言った訳ではなかった。
そのレストランのあるホテルのエレベーターがとても暗かったので、「こんな雨の日に一人で乗ると背後に誰か立っていそうで怖かった」と言っただけだった。

けれど、近頃の奴は怖い話に積極的で(怖いホラー映画を探そうとオレが仕掛けたせいなのだが)、「そういえば……」と奇っ怪な話を語りだした。どんな話かというと……。

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■お魚

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奴がたまに赴くところに大きな家がある。
そこは毎年クリスマスに豪華なイルミネーションを飾っていた。
トナカイのソリに乗ったサンタクロース。クリスマスツリー。プレゼント。天使。数多の星。寄せては返す光の波……。

しかし数年前からプツリと、そのイルミネーションを飾る習慣が途切れた。

理由は判らない。
ただ、本当かどうかは判らないが奴は何度か『噂』を耳にした。

離婚によって娘夫婦が出て行き、その夫婦の子供の為に飾っていたイルミネーションが要らなくなったから……と。
その子供は娘夫婦と一緒に出て行ったから?
いや、そうではなく不幸な事があり、それが原因で娘夫婦の仲は複雑となって、ついには離婚して……。

あくまでもそれは噂であり、奴はその話を鵜呑みにはしなかった。そしてほとんど忘れていた。

だが先日、今日のような雨の夜に、奴は見た。
誰も通らない雨の降る夜道に、背後から誰かが駆けて来る足音が聞こえた。雨に濡れたアスファルトを走ってパシャパシャと水音を響かせる音を。

奴は横を見た。
すると小学生の少年がその大きな家の玄関前に駆け込んだ。
その時、奴は忘れていた噂話を思い出した。そして『やっぱりでたらめだったのか』と思った。

しかし、少年はずっとそこに立ったまま玄関を開けようとはしなかった。
玄関を背にして、雨を気にする様子もなく、暗がりに表情を隠していつまでもそこに佇んでいた。


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■お肉

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「それって……まさか」

その話を聞き終えてオレは背筋をゾクゾクさせた。
だが奴は平然としていた。「雨のせいかな? 孤独な姿に見えてね。声を掛けようと思ったぐらい可哀想だった」と言って。

どうやら奴にとっては、少年が何でもあっても構わないようだった。
相手が何であっても孤独に見えるなら優しい言葉を掛けてやりたいと、それだけのことだった。

「……そうか。まあ、本当はむやみに怖がらないでそうしてやるべきなんだろうな」
「もしかするとあの家の子じゃなかったのかもしれないしね。何の関係もない子供が雨の中をずっと走って来て、疲れたからあの家の玄関前で雨宿りをしただけなのかもしれない」

オレはその説に頷いて見せた。
だが本音では無理があるように思えた。
よりによってその家の玄関を選ぶか? 何の関わりもない子供が他人の家の玄関前まで来入り込んで雨宿りをするか? ずっと雨が降っていた日に傘を持っていないのも可笑しいんじゃないか? ……と。

しかし、そんな突っ込みを入れても意味がなかったので無言を通した。
奴にとって、その少年の正体が何であるかよりも、その少年が寂しそうだった事が気がかりなのだから。

「寒い夜に外に立っているのは辛いな」
「そうだ、お前も子供の頃にそんな経験があったんだよね?」
「良く覚えていたな。ああ、冬の遊園地で真っ暗になってもまだ待たされた」
「寒かったね」
「まあな。だが今はもう、それがどれほど寒かったのか良く覚えていない」
「そうなの?」

オレは頷いて、「今はこんなに暖かいからな」と言った。
あの時は(愛人と会っていた)父親を恨めしく思いながらこの寒さは絶対に忘れられないと思ったものだが、こんな暖かな日をたくさん過ごしたせいでその寒かった記憶が薄らいでしまった。──きっとそういう事なのだろうと、美味しそうに料理を食べている奴を見詰めて思った。

「帰るのが面倒になってきた。せっかくあたたまったのに外に出たらまた寒くなる」
「でも帰らないとね。猫達も待っているよ」
「猫の事を言われると弱い」
「ミケルがお前の帰りを待ってる。今だってきっと、早く帰ってこないかにゃーって」

今の暖かさを長引かせたくてワインをもう一杯頼もうと思っていた。だが家に帰っても暖を取れるのだからこれで切り上げる事にした。何よりも奴に三毛子の真似をされて、早く帰らずにはいられなくなった(笑)

「帰ったら猫様の腹に手を入れるぞ」
「オレも」
「寒い日は猫だよな。猫様はたまに『仕方ねえなあ』って顔をするが」
「あはは。ミケルのお腹にもモフモフしよう」
「オレも」

外は寒かった。
遊園地で待たされたあの日もこれぐらい寒かったような気がしたが、やはり今のオレはもう、正確にあの寒さを思い出す事はできなくなっていた。

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■マロンのプリン。果物添え

■余談
ホテルから出る時は奴と一緒にあの暗いエレベーターに乗ったので怖くなかった……ハズなのだが、奴がオレの耳元で急にこんな事を言ったので途端に怖くなった。「もしも今、オレが幽霊に取り憑かれたらどうする?」 ……やめてくれ腰が抜ける(泣)

それにしても、今回は料理の写真と文章がまったく合っていなかったな(汗)
しかし写真もどんどんタイムリーに使ってしまわないと使えずに削除してしまうので(そういう写真が物凄く多い)、無理矢理に使わせて頂きました。文章とは別に楽しんで頂けたら幸いです。

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という訳で、
今週もお疲れ様でした!

今日の都内は風が強くて寒かったな。
身体を冷やしてしまった方は温かなお風呂にのんびりと浸ってぬくもって下さい(オレもさっきまで長風呂で漫画を読んでいました笑) そして風邪をひかないように、この週末を楽しくお過ごし下さい。

では、今夜も心安らかに楽しい夢を。
おやすみ。

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