今夜の時間をとめて
Tue.23.12.2014 Posted in 恋愛
宿泊先のホテルの部屋は品の良いヨーロピアン風だった。

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奴と2人で夜を過ごすのは久しぶりだった。
三毛子が来てからオレは自分の部屋で眠るようになったから。

「夕食のフレンチは口に合ったか?」
「とても。フィッシュもミートも贅沢に食べられた」
「露天風呂も気持ち良かったな」
「夜風が冷たくて顔は凍るように寒いのに身体は熱くて、不思議な感じだった」

オレ達は窓側の方のベッドに座って今日の出来事を話した。
ロマンスカーの車内販売でアイスクリームを買い損ねた事や、バスに揺られながら見た紅葉が美しかった事や、夜のガラスの森のクリスマスツリーが幻想的であった事などを。

時刻は23時近かった。
そろそろ眠る事を意識しなくてはならない時刻だ。

オレは半分ほどウイスキーが残っているスキットルを出して奴に差し出した。「楽しかった1日に乾杯するか?」と。
奴は頷いてスキットルを受け取った。そして「乾杯。きっと明日もハッピーだ」と言って、先にウイスキーを一口飲み込んだ。

奴はオレにスキットルを返した。
だがオレはそれに口を付けず、奴の肩を抱いてキスをした。大阪以来の2人だけの静かな夜を思うままに堪能するつもりで。

「乾杯は?」
「貴方がしてくれたから良い」
「一人じゃ乾杯にならないんだよ」
「じゃあ貴方が飲ませてくれ」
「はは、甘えてるね」

オレは「にゃあ」と言って奴をベッドに押し倒した。
その時奴は、「ミケルは元気かな?」と呟いた。

勿論オレも三毛子(ミケル)の事は朝からずっと気になっていた。
だが今は、奴にはオレの事だけを考えていて欲しかった。
だから敢えて何も答えなかった。帰宅したら何時もの三倍は猫可愛がり事を三毛子と猫様に誓って奴にキスをした。

「部屋の灯り……」
「ああ」
「暗くしても何だかドキドキする。久しぶりだから」
「薄暗くした方が艶かしい気分になるからだろう」
「ああ……でも明るかったら枕で顔を隠してしまいそうだ」

奴はそんな可愛らしい事を言った。
時には容赦なくサディスティックになる癖に、しかしそのギャップもまた奴らしくてとても愛しくなった。

「貴方の身体があたたかくて気持ち良い」
「お前の身体も」
「汗をかいたらまた温泉に行こう」
「うん、深夜に2人だけで夜空を見よう」

奴のあたたかくてさらさらとした肌を自分の肌と重ねるのが心地良かった。
奴はいつもよりも身体を密着させたがって、ずっとオレの背中に腕を絡めてきた。

激しく動くよりも、そうやって互いの身体を押し付け合いながら蠢くのが気持ち良かった。溜息の漏れるような恍惚感と愛おしさが全身を廻って、いつまでもこの一時が終わらなければ良いのにと心の底から思った。

「ステキなクリスマス旅行だ」
「ああ……庭にあるイルミネーションが見える」
「出来るならこのまま外に出てみたい」
「風邪をひくぞ」
「風邪をひかないようにお前があたためて」
「判った。絶対にひかせないぞ」

2人で布団に包まりながら「メリークリスマス」と言った。
2つのグラスにスキットルのウイスキーを注いで、それで乾杯して。

楽しいという以上に幸せな夜だった。
年末には奴は母国に帰省して、場合によってはその後しばらく日本に戻らないかもしれない。
だが今夜の思い出があれば、オレはいつまでも不安も悲しみもなく奴の帰りを待てるような気がした。

メリークリスマス。
明日も明後日も、来年も、奴と声を揃えてそのハッピーな言葉を言えるのだから。

==========

箱根のホテルでの一時を書かせて頂きました。
今夜も最後までお読み下さってありがとうございます。

皆さんの過ごすクリスマスが楽しくて幸福でありますように。
明日も明後日もオフィスより仕事をしながら祈らせて頂きます(笑)

では、今宵も心温かく幸せな夢を。
おやすみ。

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