2人忘年会
Wed.17.12.2014 Posted in 友人や家族
落ち合わせ場所に指定された喫茶店に入ると鮮やかなフルートの音色が聴こえた。

CDではない生演奏の音だった。
禁煙席である2階への階段を登ると、小さなコンサートスペースでフルート奏者がピアノの伴奏と共クリスマスミュージックを奏でていた。

曲名はホワイトクリスマス。次にアメイジング・グレイス。
オレは次々に演奏される音楽を聴きながらアールグレイを注文した。待ち人が来るまでの間、退屈せずに済みそうだと思いながら。

2014_1216_3.jpg
■大正時代を思わせるインテリアを背景に奏でられた音楽に拍手を送らずにはいられなかった。可愛らしいメイドさんもいる喫茶店ですがメイド喫茶ではありません笑。

約束の時間より30分ほど遅れて友人のボストン君はやって来た。
しかしその時にはもう、小さなクリスマスコンサートは終わっていた。

「お疲れ。さっきまでそこでクリスマスミュージックの演奏をやっていたぞ」
「ああ、知っている」
「なんだ知っていたのか。それならもっと急いで来れば良かったのに。良い曲ばかりやっていたぞ」
「これでも急いだんだぞ。お前の好きな曲が聴けて良かったじゃないか」

オレは「そうだな」と言ってこの話を終わらせたが、ボストン君はオレの趣味に合わせて待ち合わせ場所をその喫茶店にしたのかもしれない。
あるいは最初から遅刻することを予想して退屈しのぎが出来る場所を選んだのか、そのどちらかは判らないが(笑)

2014_1216_4.jpg
■銀座の老舗『やす幸』 平日でも常連さんでいっぱいの活気のあるおでん屋さん。

オレ達は15分ほど仕事の話をした。
それから席を立って近くのおでん屋に場所を移した。

実は、喫茶店ではもう1人の待ち人、奴とも落ち合う予定だった。
しかしタイミング悪く仕事にミスが生じて一時間ほど遅れて来る事になった。

けれどその連絡が来た30分後、再び奴から連絡が来て、トラブルの対応にもっと時間が掛かる事になって3人でおでんを摘む事は出来なくなった。明日の対応でも構わないトラブルだったが、奴は箱根に行く関係で何が何でも明日に持ち越しができなかった泣。

「柚子の効いた茶碗蒸しとヒラメを食べさせたかったぜ」
「また誘おう。今夜は英会話レッスンにならなくて良かったな?」
「実はそれがちょっと怖かった。というか、Yと会うと英語でしゃべるのをやめてくれよ。貴方が話すから奴も話し出すんだ」
「そうはいかんさ。お前を教育しなくてはいけないからな」
「どうだか。2人で英語で話している時って物凄く意地悪そうな顔をしているぜ」

主賓の登場をなくしたオレ達は途端にフランクに話し始めた。
ガラスのコップに並々と注がれる熱燗と、それに良く合う『このわた』を注文して、すっかり飲む体制となって。

2014_1216_6.jpg
■このわたと銀杏と熱燗。完全におやじ風だが冬はこれが美味いんだよな。

「……ところでさ」
「なんだ?」
「クリスマスミュージックの中で一番好きなのはSleigh Ride(そりすべり)だ」

近頃の出来事(仕事と政治の話をメインに)を語らい、それが途切れた時、オレは急に喫茶店の演奏を思い出してそう言った。ポケットの中にはプログラムを印刷したチラシが入っていたので、それをカウンターの上に置いて。

ボストン君はそのチラシを手に取って、「いろいろ演ったんだな」と呟いた。
「貴方の好きなのは?」とオレが訊けば、軽くメガネを指で上げてチラシに書かれた曲名を確認した。

彼はその内の数曲にまつわる話をして、結局どの曲が一番好きなのかは答えなかった。
オレはそれを彼らしい返答だと思って2度も訊いたりはしなかった。

先月、ボストン君は誕生日を迎えてオレより11歳年上になった。
出会ってもう12年以上となる。
その横顔には確かに年数を経た変化があるが、変わったのはそれだけで、仕草も内面も、まったく変わっていないと思えた。

もっともその後、ボストン君は自ら白状した。
年齢のせいかメガネを置いた場所を度々忘れる、と。そんなイメージは全然ないのだから言わなけりゃ良いのにな(笑)

「イワシやサンマを食べると良いんだぞ。週に2回は魚だ」
「良し、タタミイワシを追加だ」
「早くおでんも食べようぜ……」

そういえばもう、今の彼はボストンに行く用事もなくなった。
それなのにオレはここで彼をボストン君と呼び続けても良いのだろうか? まあ良いか。

2014_1216_7.jpg
■奴に食べさせたかった柚子の風味が効いた茶碗蒸し。小さな餅が入っていて、それもまた美味しい。

「年末はまた海外か?」
「今年は都内で休む」
「寝正月か? 珍しいな、というか初めてじゃないか」
「最近は仕事で海外に行くだけでいっぱいでな。プライベートで行くのは面倒になってきた」
「その内、向こうに住むのかと思ってた」
「それはない」
「そうなのか……」

年末年始の話をした。
奴が帰省する事と、奴の抱えている不安を少しだけ。
そしてオレは実家で過ごして一人で初詣に行くことも。

もしもお互いに暇なら年明けに会う事にした。新年会で盃を交わす事も兼ねて。
来年も変化の多い1年になりそうなので、その出だしをしっかりとしておきたくて。

「忘年会はやり直しか? Yが忙しくない時に」
「そうしてもらうと奴が喜ぶ。良いか?」
「判った。またどこか店を押さえておく」
「ここじゃ駄目なのか?」
「年末は混むぞ。もう少し落ち着ける店にしよう」

そんな約束を交わして、本当は3人の忘年会だったおでんパーティをお開きにした。

オレはボストン君と店の前で別れて、今日はフルートの演奏が聴けて良かったと、ほろ酔い気分で帰路を辿った。
年末の本当に忙しい日々はこれからだが、息抜きに奴を誘ってあの喫茶店に行こうと考えながら。

2014_1216_8.jpg
■おでん。きりたんぽとホタテとガンモ。その他、湯葉、はんぺん、竹輪、つぶ貝……と、色々と頂いた。熱燗と一緒に食べて、とても身体があたたまった。

タクシーの中で奴にLINEを送った。
奴は「あと少しで終わる! 帰ったら紅茶が飲みたい」と返事を寄越した。

オレは途中でタクシーを止めて貰って紅茶に合いそうな焼き菓子を買った。
今夜はオレだけが贅沢をしてしまったから、帰ったらすぐに部屋を温めて、疲れて帰ってくる奴をたっぷりと労ろうと思った。一年ぶりとなるホワイトクリスマスのオルゴールを流しながら。

==========

という訳で、
日に日に今年が終わる時が近づいている。

今年は早くも雪の被害が出ているが、皆さんは大丈夫だろうか?
寒気が吹き荒れる日々が続いても、皆さんが風邪をひくこともなく元気であるように祈っています。

では、今夜も楽しい夢を。
おやすみ。

<余談>
ボストン君にツムツムをやらせてみたら初回プレイで16万以上だった。初回3万ぐらいで、今も平均20万程度のオレはどうしたら良いのだろう。たまに奴と競ったりしているが、奴も60万以上行くのにな(汗)

■先日のイルミネーションの続きは後日に書かせて頂きます。

本日もランキングバナーのクリックをして頂けたら嬉しいです。
にほんブログ村 セクマイ・嗜好ブログ 同性愛・ゲイ(ノンアダルト)へ 同性恋愛  国際恋愛

コメントはこちら携帯版)へどうぞ。大変に申し訳ありませんが只今コメント返信は不定期とさせて頂いております。

スポンサーサイト



topBack to TOP