馬と縄 .2
Mon.04.08.2014 Posted in SM・フェチ
奴は澄ました顔で部屋に入ってきた。
しかし肩幅のある奴には女性用の婦人警官のコスチュームは窮屈そうで胸元を大きく開いていた。さらにスカートは一昔前のキャバクラ嬢のように下着が見えてしまうぐらい短かった。

おまけに舞台用のような派手な化粧をしていた。そんな色のコスメばかりを買って来たオレも同罪かもしれないが、それにしても古い洋画に登場する娼婦そのものだった。

目眩がするほどの香水の匂いがないのは残念だった。
と、オレがそんな事を考えていたら、ピタリ。奴は足を止めてオレに背中を向けた。

ストーリーは始まった。
奴は満員電車に乗り込んだ婦人警官であり、オレは電車の座席に座って雑誌を読んでいる不埒な男だ。

衣装もシナリオも舞台もお粗末な『お芝居ごっこ』だった。
なのにオレは興奮していた。
手にしていた雑誌(ルームサービスのドリンクのカタログ)を放ってさっそく奴の背中に近付き、30秒程は無言を守って、それから手の甲でさり気なく奴の臀部の膨らみに触れた。

奴が振り返って横目でチラリとオレを見た。
オレはシラを切って手を離し、奴が前に向き直るまで視線を逸らした。

そんな事を2回繰り返した。
『ストーリープレイはなりきらなくては面白くない』という鉄則もあるが、こういう『ごっこ遊び』が大好きなオレはほとんど真剣に自分の役を演じていた。そして奴も、オレに負けないぐらい演技派だったのはオレと同じように楽しんでいたからだったのだと思う。

3回目の時は、オレは手を離さなかった。
奴に訝しげな目を向けられても尻の曲線を撫で続け、そればかりか自分の固くなったものまで押し付けて腰を揺すった。

「はっ」と、呆れたのか怒ったのかどちらとも取れる溜息が奴の口から漏れた。
しかしオレの演じている痴漢は馬鹿で楽観的なので、それを感じている息だと思い込んで行為をエスカレートさせた。

『そんな短いスカートを履いているのはここを弄って欲しかったからだろう?』と心の中で囁いて、強引に右足を奴の両足の間に割り込ませ、中指を奴の股間に滑り込ませた。
すると奴はオレの手を握った。猫のように吊り上がった目でオレを見下すように睨み付けて、オレの手の甲に爪を立てて。

現実ならば、いくら馬鹿な痴漢でもそこで自分の身の危険を感じて止めるだろう。だがこれはどこまでも都合の良い『ごっこ遊び』だ。
オレは奴に手を掴まれたまま尻の割れ目から股間を撫で回した。右手を奴の胸に当てて制服の上から乳首までも弄りながら。

(オレ好みの)淫らな女装婦警に痴漢を働いている事にも、これから厳しい取り調べが待っている事も、酷くオレを興奮させた。
奴は……婦警さんがそんな事ではいけないのだが、奴もしっかりと感じて下半身と胸の突起物を固くさせていた。だがオレの破廉恥な行為に流されたりはせずに、あくまでもクールな表情を保っていた。

その表情を崩してやりたくなってオレは奴のストッキングを引っ張った。引き裂く為にだ。

すると、途端に来た。
突然、奴はこちらを向いてオレの腕を掴んだ。
奴らしい馬鹿力だった。そして造作もなくオレをオレを壁に押さえ付けて、オレの頬を片手で掴んだ。

ついに痴漢は強い婦人警官に囚われてしまった。

だがオレは全身に鳥肌が立つほどゾクゾクしていた。
完全に男にしか見えない長身でド派手な女装趣味の変質者は綺麗な顔をしているが、とんでもないサディストで猟奇的願望すら持っているのかもしれないのに、オレは心を開いて歓迎していた。さあ好きなように嬲ってくれと。

「変態」

奴は冷めた口調でそう呟いた。
オレはすぐさま跪いて床に頭を擦り付けたい衝動に駆られた。だが、それではすぐにオチが付いてしまうつまらない遊びになってしまうので故意に抗った。顔を押さえている奴の手を振りほどいて、逆に奴を壁に押さえ付けようとして。……もっともオレは『やられ役』なので力を加減したが。

しかしオレは『ごっこ遊び』に入り込んだ(楽しんでいる)奴を甘く見ていた。シャワーを浴びる前の「にゃいよー」などと言った可愛らしい奴はもうどこにもいなかった。

奴はすかさずオレの股間を握った。
オレは反射的に声を上げて身を屈めた。本当に潰されるかと思うほどの強い力で容赦なく握られて。

こんな遊びにそこまで本気でやるか!?
とオレは思ったが、そこまでやってこそ面白くなるのが『ストーリープレイ』なのだから仕方がなかった。

だがオレは『玉』に痛みを感じながら少々臆した。
出だしからこのリアリティ。では『取り調べ』が始まったらどうなるんだ? と。
奴はツンと顎を上げた顔でオレを見下ろしていた。ピッと伸ばした背筋からも眼差しからもサディスティックなムードを全開にして。

そんな状況だというのにオレは子供の頃に観た、某国軍の親衛隊のサドで変態でキチガイなポルノ映画を思い出していた。今の奴はその登場人物にそっくりだと。暢気に構えていた訳ではない。オレは何故か緊張すると逆におかしな事ばかりが頭に浮かぶ。

奴は、辛うじて婦警のシャツの胸元を合わせていたネクタイを片手で引き抜いた。

オレはそれが合図に思えた。
厳しい折檻を開始させる無言の合図だと。

<注意:ごっこ遊びの時以外では、『短いスカートを履く=痴漢されたい意思表示』などとは思っておりません。合意の上での遊びだからこそそんな破廉恥な思いに取り憑かれるのです>

==========

マニアの悪い癖で細かな事までも書きたくなってしまい、連載は4回に長引きそうです。

そして今回は変態シーンに入る前で終わってしまって申し訳ありません。今回のも十分に変態かもしれませんが。

続きは6日の夜を予定しております。
奴と一緒にちょっと遅い土用丑の日を楽しむ予定で、鰻を食べてM精力満タンにして頑張ります。

おやすみなさい。
今夜も明日も良い夢を見て下さい。

<希望的観測の余談>
今月も何かと忙しい日々が続いておりますが、来月からこそは本当に仕事が安定しそうです。長かった……。オレがこんなにも真面目にサラリーマンをするなんてもう二度とないだろう。

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