過去を映す水面のように
Sat.12.07.2014 Posted in 恋愛
あんなにスケジュール調整で大騒ぎした台風は一体どこへ行った?

まあ今のご時世、いちいちそんな事にこだわっていては生きていけないのだろう。
とても不思議な虹が見られたのでそれで一件落着だ。明日も出勤になったのも台風のせいだが、それも忘れてやろう(泣)

今日はお客さんと台風騒動の話で盛り上がった。
そしてオレがおいとまする時、お客さんのご家族が作られた自家製の梅酒を頂いた。

『奴への土産が出来たぜ!』

と、オレは喜んでそれを自宅に持ち帰った。
梅酒の中には果実もたくさん入っていたので、今夜はそのまま食べて、休日中にはゼリーを作ろうと思った。

「へえ、自家製の梅酒なんだ」
「お客さんの家でちょっと飲んだが美味しかったぞ」
「勤務中に飲酒したんだ、悪いんだー」
「ゼリーを作って食べさせてやるから密告は勘弁だ」
「あはは、じゃあオレも何か作って良い?」
「良いぞ。何を作るんだ?」
「まだ考えてない。飲みながら考える」

奴は『早く飲ませて』と催促した。
オレはタンブラーを持って来た。だがその前に柄の長いスプーンで果実をすくい上げて奴の口元に運んだ。

パクリ。と奴は口に入れた。
梅汁を含んだうす甘い果実は美味しかったようで、口をモグモグと動かしながらニコニコしていた。そして「何を作るか決めたよ」と言った。

だが日曜日まで何を作るのか教えてくれないそうだ。
一体何を作ってくれるのだろうな? ヒントとして「デザートじゃないよ」と言っていたが、梅酒を使う料理というのはまったく想像できない。

「じゃあオレはデザート担当で、貴方は食事担当な」
「いいよ。一緒に作るのは久しぶりだから楽しみだね」

どうやら今度の日曜日は平穏にのんびりと過ごせそうだ。
梅ゼリーに失敗して大慌てしないように、明日は仕事中にしっかりとレシピをチェックしておこう。

レシピといえば。
梅酒を頂いた方に、同じく自家製の水まんじゅうをご馳走になった。

「美味しいです。作るのは難しいのでしょうね」とオレが言ったら、「簡単です」とその方は言ってレシピを教えてくれた。

確かに簡単だった。さすがに透明のゼリー状の部分は難しそうだと思ったのだが、意外にも餡よりも簡単だった。もっとも餡は、市販の出来上がっている物を使えば更に簡単なのだが。

「どうやって作るの?」
「家に片栗粉はあるよな? あれと砂糖と水だけで3分で出来る」
「そうなの? じゃあ今すぐに作れる?」

いや、皮の部分だけを作っても……と思ったが、好きな人の前では良い格好をしたいオレはキッチンに立った。
そしてiPhoneに書いたレシピを見ながら片栗粉と砂糖を煮込んで数分後、初めてにしては良い具合に水の皮を完成させた。

「わあ、本当に透明でプルプルしてる。食べてみて良い?」
「本当は冷蔵庫で冷やした方が良いんだが、温かくても良いならどうぞ」
「構わないよ。いただきます」

パクリ。奴はスプーンに乗せた水皮を口に入れた。
しかしそれはとても曖昧な味だったせいか『良く判らない』という顔をした。口では「日本のお菓子って味だね。美味しい」なんて言っていたが。まったく良い旦那さんだぜ(笑)

「貴方に作る時は蜂蜜で味付けて、中に煮込んだフルーツを入れよう」

オレは笑いながら自分も一口食べた。

その瞬間、何やら懐かしい記憶が脳裏に蘇った。
中に餡を入れた完成品を食べた時には気付かなかったが、あの水皮の味は、確か幼い頃に……。

「そうだ、風邪をひいた時に食べさせられたんだ」
「これを?」
「ああ。母がな、オレが子供の頃に作ってくれた。風邪をひいた時にはこれが良いんだとか言って。だが作ってくれたのはほんの数回だったから、ずっと忘れていた」

そうだ、この味だ、懐かしいぜ。とオレは言いながら水皮を次々に口に運んだ。
水皮……いや、母はカタクリと呼んでいたと思う。片栗粉のカタクリって事だな。

「良い思い出だね」と奴が言った。
『そうか?』とオレは思ったが、「そうだな、懐かしい」と答えておいた。

まさかこんな形であんな記憶が蘇るとは思わなかったが、遠い記憶の中のオレはカタクリを美味しいと感じていた。ほんの子供だったのに、あんな古くさくて(失礼)懐かしい味のものを美味しいと。

あの頃の母はまだ、とても元気で美しかった。
ブルネットの長い髪をキレイに巻いて、貧しい生活の中で工夫を凝らして料理を作ってくれて(小麦粉の中に残ったご飯を足して甘く味付けてパンケーキのように焼いたものも美味しかったと思う)、風邪で熱を出せばそんなものを作ってくれて、たまにアイスを買って来てくれて、狭い部屋の中を走り回って遊んでくれた。

不思議なもので、ずっと忘れていた過去を何か一つ思い出せば、それは記憶を束ねる蔓(つる)となってたくさんの過去を蘇らせる。
何をしても消せない嫌悪を抱いても、そうなる以前の僅かな過去を思い出せば、その途端に気持ちが崩れそうになるのは何でだろうな。

「冷えたら味がハッキリしてきた」と言いながら再びカタクリを食べ始めた奴に、思い出した事の全てを語ろうかと思った。奴はオレと母の話を聞きたがるから。

だが妙にしんみりとしてしまいそうだったので止めておいた。
どうせ語るなら奴も同じような気持ちでいる時の方が良いように思えた。夏は夜を満喫できる季節だから、もっとゆっくりと静かに語れる夜にでも。

==========

という訳で、
奴の料理が楽しみだ。だがオレも洋風水まんじゅうを頑張って作らないとな(笑)

上手く出来たら、またレシピと共に写真をお披露目します。

そういえば最近はブログに写真を使わなくなった。
カメラが故障した訳ではない。奴とのデート中には今もたまに撮っているが(奴も相変わらず写真好きで)、時間のない今は、ブログに乗せる為に写真をサイズ加工するが面倒でな(汗)

来週が終わったら暇になって楽しい夏を過ごせますように。
皆さんも幸運と歓喜に満ちた夏を過ごせますように。

では、引き続き幸せな夢を。
そして明日は楽しい週末をお過ごし下さい。

しんみりなエントリーが続いたので、明日は元気なのを書くぞ。

おやすみ。

本日も2つのバナーのクリックをお願い致します!
にほんブログ村 セクマイ・嗜好ブログ 同性愛・ゲイ(ノンアダルト)へ 同性恋愛  国際恋愛

コメントはこちら携帯版)へどうぞ。大変に申し訳ありませんが只今コメント返信は不定期とさせて頂いております。

スポンサーサイト



Theme: 男同士の恋愛 « 恋愛

topBack to TOP