言うことを聞く理由
Tue.29.10.2013 Posted in 恋愛
「充電器のところに名刺があっただろう?」
「あったね」
「すまない」
「何が?」
「ああいう店に行く時は事前に言うって約束したのに、言わなくてすまない」

下手に言い訳をするよりもストレートに誤る事を決めたオレは深く頭を下げた。
しかし奴は何秒間か沈黙していた。きっとオレの頭を見下ろしながら、『この馬鹿、どうしてくれる? この頭を蹴り飛ばしてやろうか!?』とか考えていたに違いない。

けれど、
「本当にすまない。貴方の気持ちも考えずに申し訳なかった」とオレがもう一度言うと、奴は「顔を上げてよ」と言った。
だからオレは顔を上げたのだが、その途端、奴は両手でオレの左右の頬をビタビタと連続で叩いた。

それはなかなか痛かったが、正直に言うとホッとした。
怒りに満ちた声で何かを言われたら深刻な事態になりそうで怖かったが、そんなコミカルなお仕置きだったから、きっと許して貰えると思えた。

……なんて事を書いたら『反省してないな?』と言われそうだが、決してそんな事はないので二度とやらないと固く誓っておこう。不安な気持ちで奴の帰りを待つのは二度とゴメンだし、奴には本当に申し訳ない事をしたと反省したから。

「すまない」
「100回言って」
「すまない、すまない、すまない、すま」
「100回も数えるのは面倒だからもう良いよ」
「許して貰えるのか?」
「名刺を見付けた時はムカッとしたけど接待だったしね。でも、」
「でも? 何か条件があるなら何でもするぞ」
「スモークサーモンのスパゲティを作って。材料は買って来たから」

と奴は言って、右手に下げていたS城I井の買い物袋を持ち上げた。
勿論オレは即答した。「任せろ。はじめて作るが美味いのを作る」と。

良かった。
今夜も奴は学校だったが、それで疲れてお腹が空いてあんまり怒る気力がなかったのが救いとなったような気がする(汗)

だが本当にこういう事はコレっきりにしよう。
好きな人に嫌われたかもしれない……と不安な気持ちを抱くのはもう嫌だからな。

「サーモンのスパゲティがどうしても食べたかったんだな?」
「レストランで食べて帰ろうかと思ったけど、疲れて早く帰りたかったから材料を買って自分で作ろうと思った」
「でもオレに作らせたな」
「ふふふ。お前はいけない事をしてしまったからね。今夜はオレの命令を何でも聞くんだ」

今夜に限らずオレはいつでも貴方の奴隷だけどな。
何度も貴方をガッカリさせてしまっているが、それでもいつも貴方に尽くしたいと思っている。自分の気持ちを理解して欲しいと思うよりも、貴方が満足している顔を見ているのが好きだから。

「じゃあ、王様にこれを献上するぜ」
「なに?」
「これ」
「ムーミンの本! トートバッグ付きなんだね。可愛いな」

スパゲティを食べて満腹になった奴は、すっかり笑顔になって本を受け取ってくれた。

奴のご機嫌を直したいが為に買ったムーミンのファンムックだったが、買って正解だった。
仲直りをしてから渡したのも良かったのかもしれない。喧嘩中だったら奴も意固地になって、本当は欲しくても受け取れなくなってしまうからな(汗)

「気に入ってくれたか?」
「気に入った。週末に一緒に見ようよ?」
「ああ。……嬉しいから明日も貴方がして欲しい事を何でもするぞ」
「嬉しいから? オレはもう怒ってないのに言うことを聞いてくれるの?」

そうだぞ。と、オレは言って奴の頭を撫でた。

オレはマゾヒストだから誰かの命令に従う訳じゃない。
その人が好きだから従いたくなるのであり、その人が喜んでくれるのが嬉しいからずっと言うことを聞きたくなるんだ。

という訳で、皆さんにも感謝を申し上げます。
嘘吐き体質の馬鹿なオレを応援して下さってありがとうございました。
今回はタイミングが良くて救われたようなものなので、こんな事は本当にこれで最後にしたいです。

本当はキャバクラやナイトクラブには行きたくないんだがな。
しかし要望がある内は仕方がない。オレはまだサラリーマンなんだしな。

(だがキャバクラを希望するお客さんは極めて少ない。キャバクラにはプライベートで行かれた方が良いのではないかと思う。恋人がいたり結婚されている方など、接待であろうとそういう場所に行けば奥さんや恋人は嫌がるのだから。それに男なら誰もが女性のいる飲み屋や風俗に行きたがるとは限らない。オレなどゲイでも二丁目は苦手だから男のいる飲み屋や風俗でも……愚痴でした)

さて、寝る前にもう少し英語をやっておこう。
それにしても、ゲロルシュタイナーは当たらないな。

では、皆さんも眠られる時には素敵な夢を。
明日も幸運に満ちた楽しい1日となるように祈っています。

おやすみ。

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怠りは疑惑の卵
Tue.29.10.2013 Posted in 恋愛
雨の降る道を歩いていたら、走ってオレを追い抜いていった子供が転んだ。

小学1~2年生の男の子だ。
その子はすぐに立ち上がったが、手を擦り剥いてしまったらしく、そこに息を吹きかけていた。

痛かったのだろう。出血してしまったのかもしれない。

だが泣いてはいなかったので大丈夫だと思った。
けれどその子はオレが横を通り過ぎようとしても止まったままだったので、気になって声を掛けることにした。

「大丈夫か?」

そう声を掛けると、その子はオレを見上げた。
確かに泣いてはいなかったが、痛みを堪えている顔だった。
傷を見れば、可哀想に、強く擦ってしまって血が滲み出ていた。

オレはハンカチを取り出してそっと傷口を抑えた。
先に洗うか消毒するかした方が良かったのだろうが、取り敢えずハンカチで抑えておけば雨に濡れるのは避けられると思って。

「帰ったらすぐに消毒するんだ」
「ありがとうございます。あの、ハンカチは、あの……」
「帰ったら捨てて良い。傷に雨を当てるのは良くないから、そのまま帰るんだぞ。痛みが無くなってきたら包帯みたいに巻いてな」
「……はい」

その子は丁寧に頭を下げて歩き出した。
もう痛みは引いたのだろうか? 歩きながら手にハンカチを巻きつけていた。傘を持っていたのでやりにくそうだったが。

オレは少年を見送りながらささやかな充実感を覚えていた。
今日は会社に行っても何の役にも立たなかったので嬉しかった。

そのハンカチは奴からもらったシーアイランドコットンのお気に入りだったが、今の出来事を素直に話せばきっと奴も喜んでくれるだろうと思った。

そう、素直に話せば。

……昨夜はキャバクラ接待だった事も素直に事前に話しておけば良かった。
そうすればオレは今、こうして怯えずに済んだのに。

今日、オレは昼に帰宅したのだが、昨夜キャバクラで貰った筈の名刺がなくなっていた。
確かにリビングのボードの上にiPhoneの充電器と一緒に置いたはずなのに。
いつもならちゃんとそうしたものは処分しておくのだが、昨夜は奴が既に眠っていた事もあって油断した。

『充電器、持って行ったか?』

オレは恐る恐るそんなメールを奴に出した。
奴からの返事は『うん』

『うん』という、たったの二文字が全てを物語っているように思えた。
いつもの奴ならもっと多くの文章を書いてくれるから。『伝えなくてゴメンね』とか『今夜のご飯を楽しみにしてるよ』とか。

「風俗接待は絶対に嫌だ。キャバクラやナイトクラブの時は、仕方がないから言って。ちゃんと言ってくれたらヤキモチは焼かないから」

と、部署が変わって接待が多くなった時に奴からそんな事を言われたのだが、それを守っていれば良かった。

いや、ずっと守っていたのだが、昨日は億劫で怠けてしまった。
キャバクラに行くと言えば奴も少なからず何かを言ってくるから、その遣り取りを省略してしまいたくて。

しかし省略といっても、「お前はその気がなくても格好を付けてモテようとするから」という奴の言葉に対して、「接待だからお客さんの気分を盛り上げることしかしない。それにオレは貴方一筋だから」と、そんな一言を言うだけだった。

たったそれだけの事で奴が安心してくれるならそうするべきだった。
それが出来なかったのであれば、奴に気持ちを疑われても仕方がない。

悪い事をしてしまった。
許して貰えるだろうか?

取り敢えずムーミンのバッグ付きのファンブックを買った。それから奴の好きなチーズも。こんな時にこそムーミンお鍋セットが当たらないかとゲロルシュタイナーを10本買ったが全て外れてしまった(汗)

まあ、そんなご機嫌取りよりも、日ごろの信頼だよな。
今夜は素直に謝ろう。
奴が家出をしたらオレはマジで立ち直れないぞ。

という訳で、奴が帰宅するまで英語の勉強をしています。

皆さんには、オレのような愚かな不運が訪れないように応援しています。
夕方と夜にも楽しい事がありますように。オレのところにもありますように。

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