風邪をひいたら猫になろう
Mon.03.12.2012 Posted in 恋愛
(過去語り act4 は、このエントリーの下にあります)

まだ少し咳をしながら、ごきげんよう。

だが喉の痛みはほとんどなくなったので完治まであと一歩だ。
オレとしては稀に見る酷い風邪だったが、ようやく体調が戻るかと思うとホッとする。

先週と週末は無残だったからな(汗)
昨日など昼間はほとんど寝ていた。咳き込んでいたので奴の傍にはいられなくて、部屋で本を読んでいたら眠くなって6時間ぐらい。

時間を無駄にしたと思った。
だが、奴にそれを言ったら「違うよ」と言われた。

「体調が優れない時には眠るのが一番なんだ。猫もそうだけど、動物って病気になったり怪我をすると眠り続けるでしょう? 人間も眠らないと回復しないんだよ」

そういえば、子供の頃は風邪をひいたら一日中眠っていた。そして翌朝には体調が回復して元気に学校に行っていた。
だが大人になってからは眠る事を惜しむようになり、読書や映画を観るぐらいは平気だと思って眠らずに起きているようになった。

奴の母国では風邪で薬を飲む習慣がないので、風邪をひいたらとにかく暖かくしてゆっくりと眠るそうだ。
奴が眠る事を大切にしているのは、睡眠が人間の身体を癒してくれる事を良く知っているからなのかもしれない。

オレは今まで、『ゆっくりと睡眠を取る』という行為を時間の無駄遣いだと思っていた。
だがその考え方は改めた方が良さそうだ。これからは疲れた時や体調の悪い時には素直に眠るようにしよう。猫様やシロ子を見習って、暖かい場所でグーグーと。

「何か作ったのか?」
「サーモンのリゾット。美味しく出来たよ、食べる?」

6時間も眠って体調が良くなったのか、キッチンから漂ってくる良い香りに刺激されて空腹を感じた。

オレは「食べたい」と頷いた。
奴は「温めてくるから待ってね」と言って、キッチンに行く前にオレを抱きしめた。
オレの体調を考えて温かなリゾットを作ってくれた奴の気持ちを思えば、嬉しくて感謝の抱擁を返さずにはいられなかった。

「味付けはどう?」
「美味い。バターの風味が良いな」
「今週はこれでもう2回も自炊したから、あと2回で達成するね」
「楽勝だな。先週は残念だった」
「そんな時もあるよ。家事を休んだせいでお前の具合が酷くならなかったのかもしれないし、それなら達成できなくて良かったんだ」

奴のその台詞にオレはジンとした。
奴は「今週も無理はしないで」と言ってくれたが、オレは『今週こそは達成させるぞ』と心に誓った。

一昨日も昨日もオレのせいで奴に退屈な休日を過ごさせてしまったからな。
その汚名返上を兼ねて、次の週末はちょっと派手に遊びたい。だからオレはさっさと風邪を治して料理も作るんだ。

もしも治せなかったら、自分で自分の背中を鞭でぶってお仕置きだぜ。

という訳で、12月に入って皆さんも何かと忙しくなるかと思うが、どうぞ健康第一で充実した日々をお過ごし下さい。

今日も皆さんにたくさんの良い事があるように応援しています!

では、また夜に。

<余談>
しかし夕方まで6時間も眠ったせいで、昨夜はなかなか寝付けなかった(汗)
奴が眠った後にこっそりとここの更新をしたが、またたくさんの方々に読んでもらえたようで嬉しかったです。嬉しいお見舞いとなりました。ありがとうございます。

咳も熱も完全に治るまで油断しないように! と思って下さる方はバナーのクリックをお願い致します。ありがとうございます。今夜も早めに休みます。でも簡単なもので良いから自炊はしたいな。
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夢の回想 - 過去語り act.4
Mon.03.12.2012 Posted in 過去語り
「好きな人は出来た?」
「いや」
「僕には出来た」
「そうか」
「あんたにも出来たら良いね」

そんな会話を交わした『彼』とは、一年前までは良く一緒に酒を飲んでいた。
だが今では偶然に出会った時に短い言葉を交わすだけの関係になっていた。

距離を置きたがったのは彼の方だった。「あんたとはもう会えない。さようなら」とオレに言って。
オレは引き止めた。だが、その内にオレも彼から離れるべきだと考え直して距離を置いた。諦めたのではなく、その方がお互いの為になると判断して。

彼に好きな人が出来たのは祝福すべき報告だった。
だがオレは置いてきぼりにされた寂しさをも感じた。「あの罪は一緒に償おう」と言った言葉は、一年も経てばもう時効になるのかと思って。

オレは一時、彼に惹かれていた。
だが、彼が立ち去った後にオレの頭の中に浮かんだのは『奴』の姿だった。

特に奴を『好きな人』と意識していた訳ではなかった。
無意識の内の逃避だったのかもしれない。今、部下の中で一番気に入っている奴と飲むことが出来たらどんなに楽しいだろと、そんな事を思っていた。

奴が入社して一ヶ月が過ぎた。

ミーティングで部署の皆と一緒に飲んだ事はあったし、喫茶店で2人だけでランチを食べた事はあったが、2人だけで飲んだ事はまだなかった。

明るくて愛嬌のある奴は、アルコールのある店に入ると決まって陽気になった。
カラオケに行った時には良く知りもしない日本の流行の歌を歌って、音痴ながらも最後まで歌い上げて皆から拍手を送られていた。

その時、奴はかなり照れていてた。
頬を赤くして、落ち着きなく自分の髪を弄りながら、嬉しそうにニコニコと笑っていた。

オレはそんな仕草や表情をする奴を眺めながら、『ナイーブな性格なのかもな』と思った。奴の笑顔に釣られて笑いながら。

そして今もオレは、その時の奴を思い出して一人で笑っていた。
『彼』が残していった寂しさを忘れてしまいながら。

奴はオレのお気に入りだった。
決して恋愛のように熱くなったりのめり込んだりすることはないが、姿を見たり話をするのが楽しみに思える相手だった。

オレは奴の事をそんなポジションに置いていた。
恋をした時のように何かを望んだりはせずに、ただ奴の仕事の頑張りや様々な表情に微笑ましい気持ちになっていたいと思っていた。決して恋にはせずに、あくまでも上司として、やがてこの気持が焦る時まで。

12月に入って多忙が始まった。

今年も会社ではそこそこの規模のクリスマス・パーティを企画していたので、オレ達社員はホスト役やらウェイター役やらで会場に駆り出される事になっていた(去年から景気の問題で開催されたくなったので懐かしい思い出です)

「Y君はフォーマルスーツを持ってるか? ブラックかダークグレーのスーツに見栄えするタイを着けて参加そても良いぞ」
「前の会社でも着ていたので持ってます」

残業の時、オレと奴がそんな会話をしていると、オレのアシスタント務めてくれているAちゃんが話に飛び込んできた。

「Yさんってフォーマルスーツが似合いそう!」

彼女の言葉にオレが同意して、奴がまた照れ臭そうに笑って、そこからクリスマス恒例のイベントの話になった。
そしてその内に、「今夜の残業はこれで切り上げて、後はオレとAちゃんで新人のY君にクリスマスイベントの仕事内容を説明しよう」という事になった。

オレは2人を美味しいイタリアン料理を出してくれるパブに誘った。
Aちゃんも奴も割り勘で支払う予定だったようだがオレの奢りにして。

思えば、オレが奴に奢ったのはこれが初めてだった。Aちゃんがいなかったらきっとこんなにも早く奴を酒場に誘う事など出来なかっただろう。

「じゃあ、パーティって言っても仕事なんですね」
「ああ、だから会社も力を入れているんだ」
「好きなように飲んで食べて遊べたら楽しそうなのにねえ?」

はじめは予定通りにクリスマスイベントの話をしていた。
だが酔いが回っていく内にお約束のように脱線して、会社の人達の話になり、そして恋愛の話になっていった。

「Rさんって今は付き合っている人はいないんですよね?」
「いない。Aちゃんは?」
「いますよ。内緒ですけど、○○○社の……」
「へえ、良さそうな相手じゃないか」
「ふふふ、内緒にお願いしますね! Y君はいるのかな?」

Aちゃんが奴に話を振った時、オレは心の中で苦笑した。出来れば『ガールフレンド』の話はもう聞きたくなかったな、と思って。

だが奴は、「いないです」と答えた。
けれどAちゃんも先日の奴の発言『ガールフレンドの家に行っていた』を聞いていた一人だったのでツッコミを入れた。「休日はガールフレンドの家に行ってたんですよね?」と。

奴は、「Aさんにも聞かれていたなんて」と言って笑った。
オレはもう一度心の中で苦笑した。やっぱり居るんだな、と。

「Y君は恰好良いんだから、いないわけないだろう」
「それもそうですね」

オレが当たり前な事を語るようにそう言うとAちゃんは納得した。

オレもそれで納得した。本当は心のどこかで『あれは冗談の発言であって欲しい』と思っていたが、こうして口に出して言ってみれば余りにもそれが当たり前のように思えてようやく納得に至れた。

本当は、奴に出会ったその日の内にそんな予想はしていた。『きっと彼には付き合っている相手がいる』と。

悲しいぐらいにこの手の勘は当たる。好みの男に対しては尚更、相手の雰囲気を見ればほぼ判る。
しかし、大抵は、『この男は自分の手の届く範囲にはいない(通じるものがない)』と感じた時点でオレの興味はほとんど冷めるのだが、何故か奴に対してはそのブレーキが効かなかった。

その理由は、ブレーキが効かなくなるほど奴に興味を抱いたからなのかもしれないし、あるいは、『範囲にはいない』と感じなかったからなのかもしれない。理屈の上ではそう感じたのかもしれないが、もっと本能的な部分で。

「Y君も酒が強そうだな」
「Rさんも」

会計を済ませて、Aちゃんがレストルームから戻ってくるのを待っている間、オレと奴は2人だけで話をした。

話といっても、僅かな言葉を静かに交わすだけだった。酒盛りの残り火の後始末をするように。

「機会があったら飲み比べをするか」
「誘って下さい。今夜は楽しかったです」
「オレも楽しかった」

オレは最後に奴と乾杯しようと思った。ちょうどお互いのグラスには2~3口分のウイスキーが残っていたので。

自分のグラスを持ち上げて、「乾杯」と言って、それを奴の方へ差し出した。
奴は笑顔になって、「乾杯」と言って、オレのグラスに自分のグラスを当てた。

カチンと耳触りの良い音が鳴って、オレ達は一緒にグラスを空けた。
互いに目を見つめ合いながらウイスキーの熱を胸の奥に注いだ。

誰しも相手の瞳をじっと見詰めている時は、相手に何かを心の中で打ち明けているのかもしれない。言葉に出来ない思いを、囁くよりも密かに。

その夜は、ほろ苦い気分で帰路を辿った。
帰宅して深夜になってもなかなか寝付けず、何度も寝返りを打った挙句、朝方になってようやく眠れた。

頭の中で『彼』と『過去の恋人』との記憶がぐるぐると回転した。
けれどそれは眠りによって中断され、夢の中には『奴』が現れた。

どんな夢だったのか、目覚めた時にはおぼろげにしか覚えていなかった。
だが目覚めてしまった事を悔やむほど楽しい夢だった。オレは奴に恋をしていて、奴と一緒に過ごして、歓びに包まれていた。

その日、オレは何度もその夢を回想した。
奴を追い求めるように、どうしても全てを思い出したくて夢の断片を掻き集めた。

恋なんて何が原因して火が点くかなんて判らない。
ささいな事がキッカケして昨日まで苦手だと思っていた相手を好きになる場合もあるし、夢の中に現れたというだけで何の意識もしていなかった相手を好きになる場合もある。

恋の理不尽さと不可解さに笑わずにはいられなかった。
人の気持ちも知らずに容赦なく訪れるその感情を憎らしく思った。

だがオレの場合は、置き去りにして忘れたフリをしていた自分の本当の気持ちを認めただけに過ぎなかった。
恐らくそうだった。オレはずっと、初めて出会った時から奴のことが好きだった。

続きも待ってます! と思って下さる方はバナーのクリックをお願い致します。前置きのような部分はこれで終了。後は過去の日記のように綴りたいです。
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